なぜ左翼・柳町、中堅・近藤なのか? 首脳陣の考えを変えた“データにも表れる守備力”

ソフトバンク・近藤健介【写真:竹村岳】
ソフトバンク・近藤健介【写真:竹村岳】

近藤と柳町がスタメンに名を連ねた試合で近藤が中堅に入るのは初めて

 ソフトバンクは6日、本拠地・PayPayドームでのロッテ戦に3-0で完勝した。先発の有原航平投手が8回4安打無失点の好投でチームトップの7勝目。打線は初回に近藤健介外野手の適時打で先制すると、プロ初昇格初スタメンとなった井上朋也内野手のプロ初安打が追加点に繋がって勝利した。

 この日、藤本博史監督は7番にルーキーの生海外野手、8番に3年目の井上を据えた。右の西野に対して、左打者を打線の中心に据え、外野には柳町達外野手、近藤、柳田悠岐外野手を並べた。注目だったのはその守備位置。柳町が左翼、そして近藤が中堅だった。

 近藤と柳町がこれまで外野に入ることは何度もあったが、その時は近藤が左翼、柳町が中堅か右翼に入るパターンしかなく、この日の組み合わせは一度もなかった。近藤がセンターを守ったのは7月30日のロッテ戦で試合途中からが移籍後初。スタメンでは8月31日のオリックス戦と9月5日のロッテ戦で2度、起用されているが、どちらも柳町はスタメンではなかった。

 なぜ近藤を中堅、柳町を左翼で起用したのか。森浩之ヘッドコーチは意図をこう明かした。

「近藤の方が(柳町よりも)守備はうまいし、足も速い。守備力は高いし、センターもできるという判断。柳町と生海の守備には不安があるので、そこを優先して考えた」

 実際、近藤の守備能力の高さは守備の指標にも表れている。セイバーメトリクスの指標などで分析を行う株式会社DELTAのデータを参照すると、近藤の総合的な守備を表す「UZR」は「11.5」をマークしている。これが両リーグ通じて、左翼では日本ハムの松本剛外野手に次ぐ数字。中堅でも「1.5」とプラス指標になっており、近藤の守備力の高さを示している。

 柳町の中堅はどうなのか。森ヘッドは「今まではそうやってきて、捕れそうなボールも捕れないっていうところの判断をした。近藤が守ってくれるということなんで」という。実際に、柳町の「UZR」は左翼で「-0.2」、中堅では「-3.7」となっており、守備面での2人の差は数値としても表れている。

 気がかりなのは近藤のコンディション面だ。左翼、右翼に比べて中堅は守備やカバーの範囲が広く体への負担は大きいとされ、森ヘッドも「ただ怪我されたら困るので、そこのところを考えながらやっていきたい」と語り、藤本監督は「増田も使いたいし、生海も使いたい。使いたい選手がたくさんいる。近藤のセンターは増えるかもわからないけど『DHも入れるから我慢してくれ』と言ったら『喜んで』って言ってくれました」とした。

 中堅のレギュラーだった牧原大成外野手が骨折により離脱中の現状にある。外野陣の守備力を考慮した上で首脳陣が導き出したのが「センター近藤」の配置。近藤の守備力の高さを買ったからこそのの決断だった。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)