バント選択は「浅はかな気持ち」 柳田が犠打を試みた真相…ベンチも驚きの表情だった理由

ソフトバンク・柳田悠岐【写真:竹村岳】
ソフトバンク・柳田悠岐【写真:竹村岳】

3回無死一、二塁で柳田悠岐がバントに2度失敗…結果は空振り三振

 スタンドのファンが、騒然となった。ソフトバンクは16日のオリックス戦(京セラドーム)に3-2で勝利した。注目を集めたのが、3回の攻撃。柳田悠岐外野手がバントを試みたのだ。SNSではすぐさま「ギータバント」がトレンド入り。球界屈指のスラッガーが、勝利を求めてバットを寝かせた。藤本博史監督と柳田本人に、その背景を聞いた。

 2回に先制を許し、迎えた3回の攻撃だった。先頭の三森大貴内野手が内野安打で出塁。敵失もあり無死一、二塁となって、柳田を迎えた。初回2死には中前打を放っており、ここで長打が出れば逆転もありえたシチュエーション。期待が高まった中で、柳田は初球からセーフティ気味にバントを試みた。ボールは高く舞い上がるも、ファウルゾーンに落ちる。2球目もファウルとなり、ボールはバックネットを越えていった。結果的に5球目に、空振り三振に倒れた。

 その後は2死満塁となり、柳町達外野手が中前に逆転2点適時打を放った。PayPayドーム開催時では、中村晃外野手や栗原陵矢外野手らも試合前にバント練習を欠かさないが、柳田はほとんど見たことがない。オリックスとは9.5ゲーム差で、残り43試合という状態で迎えた一戦。とにかく結果が必要だったことは間違いない。柳田のバントは、サインか、独断か――。藤本監督が説明する。

「サインなんて出していませんよ。やっぱり、相手が山本(由伸)で首位のチームだし。無死一、二塁で、後ろに近藤もいるしね。なんとかしようっていう。初めて見た。ああいう気持ちがね、あの後の柳町に繋がったと思うんで」

 柳田は通算2犠打で、ともに2012年に記録したもの。昨年にも走者を進めるために犠打を試みたことはことはあったが、10年以上記録はされていなかった。本人もこの日のバントを「はい、そうですよ」と自らの独断だったことを認める。山本を攻略するために、1点を奪っていくために、選択したのだった。

「1点取られた後でしたし、1つ送れば次がコンちゃん(近藤健介外野手)でしたし。1点くらい取れるかなっていう浅はかな気持ちでやりました」

 結果的に失敗したことで「すみませんでした」と頭を下げる。“浅はか”と表現したものの、誰よりも勝ちたいという気持ちが表れたシーンだった。4回2死一塁では左中間に二塁打。一走の牧原大は三塁で止まっていたものの、柳田も三塁に突っ込んでいた。相手の悪送球が絡んで牧原大は本塁に生還したが、柳田は「走塁ミスもありましたし、また気を引き締めてやりたいと思います」と、納得の表情ではなかった。

 2点打を放った柳町も「どうにか進めたい気持ちがあったのかなって思いますし、それほどいい投手でローゲームというか。少ない点数の勝負だと分かっている中で、そういう姿勢だったんだと思います。なんとか打ちたいなって思いました」と感謝する。大先輩が“バントをしてでも”という姿勢を見せたことは、ナインの士気にもつながった。

 山本との対戦は今季6度目で、自責は0ながらも黒星をつけたのは3度目となった。ここから少しでも上の順位を目指していくには、結果が全てという時期。キャプテンとなり、2年目のシーズン。誰よりも優勝したいと思っているのが、柳田悠岐だ。

(竹村岳 / Gaku Takemura)