なぜ左腕・小島相手に使われなかった? 長谷川勇也コーチが指摘する野村勇の課題

ベンチから戦況を見守ったソフトバンク・野村勇(右から1人目)【写真:荒川祐史】
ベンチから戦況を見守ったソフトバンク・野村勇(右から1人目)【写真:荒川祐史】

「完全に相手のパターン、相手の術中にはまりやすい状態」

 劇的な幕切れで「鷹の祭典」最終戦を飾った。30日にPayPayドームで行われたロッテ戦。それまで「鷹の祭典」8戦全敗だったソフトバンクは延長11回、2死満塁のチャンスを作り、周東佑京内野手の左前適時打でサヨナラ勝ち。屈辱のイベント全敗を免れ、昨季からの連敗も12で止めた。

 先発の和田毅投手が5回までに4失点。打線は今宮健太内野手、甲斐拓也保守の本塁打などで3点を返したものの、終盤を迎えても2点のビハインドとなっていた。それでも、8回に柳田悠岐外野手の適時二塁打とウイリアンス・アストゥディーヨ内野手の犠飛で追いつき、延長戦へと持ち込んだ。

 迎えた延長11回。先頭の川瀬晃内野手が四球で出塁。今宮が犠打を決めると、牧原大成内野手が敬遠で歩かされ、増田珠内野手が左前安打で繋いだ。周東は2ボール2ストライクからの5球目、澤村が投じた真っ直ぐを弾き返し、歓喜の輪が出来上がった。

 劇的な勝利を飾った一戦。ロッテの先発は小島だった。1週間前にも対戦していた左腕に対して、藤本博史監督はアストゥディーヨを5番、負傷により登録抹消となった栗原陵矢内野手に代わってリチャード内野手を「7番・三塁」と、左腕対策として右打者を起用した。

 ただ、この日のスタメンには、野村勇内野手がいなかった。1週間前は1番として起用され、初回に小島からヒットも放っていた。昨季、新人ながら10本塁打を放ち、長打を打てる打者として期待される野村勇が、対左投手にも関わらず、スタメンから外れたことを疑問に思ったファンも多かったのではないだろうか。

 なぜ野村勇は起用されなかったのか。その理由を長谷川勇也打撃コーチはこう語った。

「僕もそういう見方をしていました。完全に相手のパターン、相手の術中にはまりやすい状態ですよね、今の状態は」

 野村勇には大きな課題がある。その1つが、左腕が投じるチェンジアップへの対応だ。ちょうど1週間前の小島との対戦。1打席目で初球、2球目と2球続いた真っ直ぐを左前に弾き返した野村勇だったが、第2打席は1ストライクから2球続いたチェンジアップを、同じように空振りして3球三振を喫していた。左腕のチェンジアップに苦労する打席はこれまでにも多く見られた。

「もう相手もわかっていることだし、それを投げてくると思う。そこを見逃していければ、カウントを作れて、フォアボールを取る可能性もあるんですけど、それをやろうとした時に彼の場合は、今度は甘いボールにも手が出なくなってしまうっていうことになるので。かといって、その甘いボールを打ちに行くと、今度はボールまで振ってしまう。その基本的な技術の無さが最近浮き彫りになってきているので、そこを課題として、受け止めてやってもらうしかない」

 長谷川コーチもハッキリと野村勇の“課題”として指摘する。当然。対戦する相手球団もこうした特徴は把握している。絶対に打たせてはいけない状況では、徹底してこの弱点を突いてくる。だから、首脳陣はこの日のスタメンから野村勇を外したのだ。

「そこは慣れとか経験とかっていう部分じゃないし、まずは打ちに行く、打ちに行った中でボールを見逃す形に持っていけるかどうか。ここができてくれば、相手との勝負もできるんですけど、今はもう見逃すことで精一杯で打ちに行けなくなる。打ちに行ったら、見逃すことができなくなる。しっかり打ちにいった中でも見逃すためにどうすればいいのかっていうのを彼自身感じなきゃいけないですし、僕ら指導者もそう持っていくためには、彼にアプローチしていかないといけないと思っています」

 チームの戦力編成のなかで、最も台頭が求められているのが、長打を打てる右バッターだ。当然、野村勇も有力な候補だ。ただ、長谷川コーチらの目には、ハッキリと課題が見えている。レギュラーとして台頭できるかどうか。相手の術中にハマらない技術が野村勇には求められている。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)