【連載・栗原陵矢】東京で開催された“ギータ会” キャプテン柳田悠岐という男

ソフトバンク・栗原陵矢【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・栗原陵矢【写真:藤浦一都】

東京での「ギータ会」に参加したメンバーには懐かしのOBも…

 鷹フルがお届けする主力4選手による月イチ連載、栗原陵矢選手の「7月前編」です。今回のテーマは「キャプテン」。今季、副キャプテンとしてチームをまとめようと奮闘している栗原選手がキャプテンの柳田悠岐外野手について語りました。東京で行われた「ギータ会」についても告白。栗原選手の連載後編は、7月22日(土)に掲載予定です。

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 82試合を戦った前半戦が終わった。チームは43勝37敗2分けの3位でオールスターブレイクを迎えた。栗原自身は全試合にスタメン出場し、打率.238、10本塁打43打点。「情けないです。何かが崩れた時に立て直す技術がなかったというのもありますし、自分の気持ちをコントロールできなかったというのもあります」と悔しい思いが胸の中を占めている。

 左膝の前十字靭帯を断裂し、昨年はシーズンのほとんどを棒に振った。長く険しいリハビリ生活を経て、1年ぶりに復帰を果たした今季。序盤こそ怪我の影響なくプレーできる喜びを感じていたが、シーズンが進むにつれて結果にも目が向くようになった。打線の中核を任されていたというのもあり「結果が出ないとなると、どうしても結果をっていう気持ちになってしまった」と振り返った。

 怪我から復帰を果たした今季、栗原には「副キャプテン」という肩書きもついた。7月4日には27歳になり、中堅としてチームをまとめようと、日々、チームの先頭に立っている。そんな栗原に、キャプテンの柳田が声をかけたのは、6月半ばのことだった。東京遠征の移動日。数人のチームメートと共に食事に誘われたという。

 この日行われた「ギータ会」のメンバーは谷川原健太捕手、猪本健太郎ブルペン捕手、そして、栗原の同期入団で元ホークスの幸山一大さんだったという。「ちょうど僕が幸山と連絡をとっていたら、ギーさんが『幸山も呼んでやり』って言ってくれて、幸山も来ました。お寿司を食べながら、お酒も飲みながら、懐かしい話もしながらって感じでした」。

 柳田からの食事の誘いは「たまに、ですかね。ギーさんからいつも声をかけてくれます」と栗原は言う。何かかしこまった話をしたわけではない。野球の踏み込んだ話をしたわけでもない。先輩だからといって、柳田は後輩に肩肘を張らせるようなタイプではない。5人で寿司に舌鼓を打ちながら、たわいもない会話でリラックスした時間を過ごした。

 栗原は柳田という存在について、こう語る。

「もうあのまんまですよ。ただ、本当に誰よりもチームのことを考えている感じがするっていうのは思います。後輩に対しての対応もそうですし、後輩を誘って食事に連れて行くのもそうですし、チームのみんなが仲良く、いい雰囲気でできるようにっていうのをすごく考えてくれていると思います」

 天真爛漫でちょっぴり天然……。そんなイメージが強い柳田だが、誰よりもチームのことを考え、チームメートを大事にするという。バッティングに関しても研究熱心で、スコアラー陣との情報交換も欠かさない。真摯に野球に打ち込み、真摯にチームとチームメートと向き合う姿は、栗原にとっても“お手本”となっている。

「(考えていなさそうで)すごく考えている選手だと思ってます。本当に凄いなって思っています」と、柳田に尊敬の眼差しを向ける栗原。今季は三塁手となり、マウンド上の投手に声をかける場面も目立つ。チームを引っ張る柳田と栗原。2人が歓喜の時を迎える瞬間を、ファンも待っている。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)