小久保2軍監督も認める精神面の成長 期待が膨らむ“オトナのリチャード”

ソフトバンク・リチャード【写真:福谷佑介】
ソフトバンク・リチャード【写真:福谷佑介】

小久保2軍監督も認める精神面の成長 期待が膨らむ“オトナのリチャード”

 やはり期待感は大きい。未完の大器が“変わり身”を見せている。ソフトバンクのリチャード内野手だ。8日に紀三井寺球場で行われたウエスタン・リーグのオリックス戦では左翼場外に消える2試合連発の13号2ラン。「1軍クラスでも、あそこまで飛ばすヤツはあまりいないですよ」と小久保裕紀2軍監督も目を細める特大のアーチだった。

 右の大砲候補として大きな期待を寄せられながら、なかなか結果を出せずにもがいているリチャード。今季は開幕1軍から漏れると、4月28日に初昇格するも、わずか6日で再降格。5月27日に2度目の昇格を果たすも、この時は体調不良のために、1週間ほどで出場選手登録を抹消された。

 療養とリハビリを経て、2軍に復帰したのは6月27日の中日戦になってから。ただ、そこからの9試合で21打数7安打4本塁打8打点、打率.333と好調で、小久保2軍監督に「アイツの場合はファームであまりすることはないんで」と言わしめるほど。昨季、ウエスタン・リーグの本塁打記録を塗り替えたように、技術面においては、すでに“2軍レベル”からは抜けている。
 
 さらに“オトナのリチャード”になりつつある。これまでは試合中に集中力を欠いたり、気の抜けた打席があるなど、精神面の幼さが課題とされていた。ただ、指揮官は「そういうのは、もうほぼなくなってきました。集中力が切れるのが欠点の子ですけど、そういう姿を見せず、自分のやるべきことをちゃんとできてるっていうところは成長だと思います」と、精神面での進化を認める。

 リチャード自身は「そうやって(集中を欠いて)打席が過ぎるともったいないんで。他にも試合に出たい人がいっぱいいる中で、試合に出してもらっているので、そういう打席は無くそうと思っています」と語る。自身の課題を自覚し、意識して集中を保つように、工夫も凝らしている。

 夏場を迎え、デーゲーム中心の2軍は灼熱の中で試合を戦わなければならない。集中力を切らさず1試合を戦うのも一苦労だ。「打席の中で集中力がないっていうのは無くそうと思っています。抜くときは抜くようにしています。例えば(アンダーシャツを)着替えに行くときに、クーラーが着いている部屋があるので、パッとスイッチを切り替えています」。グラウンド上で集中力を切らさぬように、メリハリをつけられるようになったのも、1つの成長だろう。

 2試合連続で本塁打を放った7日、8日のオリックス戦では、実は下半身に違和感を抱えたまま、試合に出場していた。「違和感の中でも小久保監督に試合に出させてもらった。できる範囲の全力を出そうと思ってやっていました」と明かす。1軍であれば、多少の違和感や痛みを抱えたまま試合に出るのは当たり前。その中で2試合連続で結果を残したのは、1つの収穫になった。

「これぐらいの痛みがあってもプレーはしっかりできるんだっていうものは掴めたというか、彼はもうそういうところですから」と小久保2軍監督も頷く。1軍昇格に十分な状態にあるとしつつも「上が状態いい時っていうのは、そんなに入れ替わりもないし、自分の今の目の前のやるべきことをしっかり黙々と、粛々と、進めていくという姿が大事ですね」とも指揮官は語っていた。

 これまでとはだいぶ違った姿を見せる。この状態で1軍のチャンスが巡ってくれば、どんな結果を残してくれるのだろうか。そんな期待が膨らむ。「まだ2軍なんで、目立ちたくない」というリチャード。1軍で思いっきり目立つ日がやってきてほしいものだ。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)