「優遇はできない」復帰登板は5回途中降板…石川柊太に斉藤和巳コーチが感じたこと

ソフトバンク・石川柊太(左)と斉藤和巳コーチ【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・石川柊太(左)と斉藤和巳コーチ【写真:荒川祐史】

2軍での調整登板を経ての1軍マウンドに「正直コメントが難しい」

 ソフトバンクは2日、敵地ベルーナドームで行われた西武戦に9-3で大勝した。野村勇内野手が先制の2号2ランを放つなど、打線が14安打9得点。試合後半に西武を一気に突き放して同一カード3連勝とした。これで5連勝。オリックスを抜いて首位に再浮上した。

 快勝したチームの中で、不安を残したのが先発の石川柊太投手だった。不振により登録を抹消され、ファームでの調整登板を経て、この日が1軍復帰のマウンドだった。初回1死から山野辺に右前安打を浴びたものの、無失点。2回には2つの四球を与えたものの、粘って失点は防いだ。

 だが、3回、簡単に2死としながら外崎、マキノンに連続四球を与えた。ここで迎えた呉に初球の甘く入ったカーブを右翼スタンドに運ばれた。4回は3者凡退。5回もポンポンと2つのアウトを取ったが、そこから外崎、マキノンに連打を浴び、2死一、二塁とされたところで降板となった。

 リリーフした田浦文丸投手が、前の打席でホームランを打っていた呉を二飛に仕留め、さらなる失点は免れたものの、石川は4回2/3を投げて4安打4四球で3失点。四球が失点に繋がり「試合前に嶺井(博希)と話し合って、自分らしく投げていこうとマウンドに上がりました。今日の結果をしっかりと受け止めます。次に投げる機会があれば、もっと良い投球ができるようにしないといけない」と球団を通じてコメントしていた。

 この日の投球に対し「正直、コメントが難しいな」と苦笑いを浮かべたのが斉藤和巳投手コーチだ。序盤から武器のパワーカーブを多投するなど、これまでと違う投球を見せていたのは事実。ただ、そこで出た結果は5回を持たずに降板だ。斉藤和コーチも「本人は気持ちを入れていったと思うけど、それが結果に結び付かなかったからね。それじゃ、この世界はなかなか」と言わざるを得なかった。

 石川は東浜と共に先発ローテの柱として期待されている投手だ。ここ数試合、不甲斐ない投球が続いているものの、斉藤和コーチは「期待はしている。やってもらわないとアカンから。これから終盤に差し掛かる中で必要な戦力だから」と語る。とはいえ、悠長なことを言っていられないのも事実で「ただ、あまり優遇はできないから」とも付け加える。

 ここからオールスターまでは変則的な日程が続く。4日からは7連戦となり、2週続けて月曜日に試合が組まれているため、先発の頭数も7枚必要になる。4日からの日本ハム戦では和田毅投手、板東湧梧投手、大関友久投手が先発し、7日からの楽天戦ではローテ通りに有原航平投手、東浜巨投手、石川が、10日の西武戦ではカーター・スチュワート・ジュニア投手の先発が見込まれる。

「オールスター明けには藤井(皓哉)も戻ってくるだろうし、(スチュワート・)ジュニアも調子がいい。板東もどうなるか分からない」と、斉藤和コーチはオールスター後にも目を向ける。このままの状況であれば、ローテ落ちも……。期待しているからこそ、斉藤和コーチは「常にラストチャンスと思ってやってほしい」と、厳しい言葉でゲキを送った。

 試合後、藤本博史監督はこの日の石川の投球について「前回よりかはゾーンに来ていたかなというのはあるけど、無駄な四球が多いというところ。そこだけ修正すれば、球はまあまあ強い球投げているし、あとはメンタルですよ」と語った。4回2/3を投げ、4安打4四球3失点。この投球内容から首脳陣はどんな判断を下すのか。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)