【連載・栗原陵矢】生き方の“バイブル”となった漫画 ハマっている事と野球に費やす準備

ソフトバンク・栗原陵矢【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・栗原陵矢【写真:藤浦一都】

いまハマっていることに「漫画を読むのが好き」と即答

 鷹フルがお届けする主力4選手による月イチ連載、栗原陵矢選手の「6月前編」です。今回のテーマは最近「ハマっていること」。長く険しいシーズンを戦う上での息抜き方法、イチオシのモノを教えてくれました。栗原選手の月イチ連載「6月後編」は24日(土)に公開予定です。

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 2023年度の交流戦、ホークスは11勝7敗でその戦いを終えた。栗原は18試合全てに出場し、打率.203、2本塁打7打点。6月14日のヤクルト戦(神宮)で8号2ランを放ったものの、なかなか波に乗れず。ここまで全61試合に出場して打率.242、8本塁打38打点を記録している。

 143試合の長く険しいシーズン。疲れも溜まってくれば、状態が上がらない時も当然ある。栗原は昨季、左膝前十字靭帯断裂などの大怪我を負い、シーズンのほぼ全てを棒に振り、ブランクを経て今季を迎えている。試行錯誤、苦悩を繰り返しながら、日々を戦っている。

 そんな栗原にとって息抜きの1つが漫画だ。今ハマっていることを問うと「漫画を読むのは好きですね」と返ってきた。石川柊太投手が先日、SNSにアップしていた「しょせん他人事ですから」「リエゾン」に興味津々で「読んでみようと思っています」と語る。

 そんな栗原の“イチオシ漫画”を聞いてみると「『囚人リク』っていうのがオススメです」と即答する。「囚人リク」は瀬口忍氏によって2011年から2018年まで週刊少年チャンピオンで連載された漫画だ。無実の罪で刑務所へ収監された主人公の「リク」が刑務所の仲間たちと脱獄を図る、というのがあらすじとなっている。

「自分は悪くないのに牢屋に入れられてしまって、どんなつらい状況でも明日を信じている少年の話です」。栗原が「囚人リク」を読んだのは、2014年ドラフト2位でプロ入りしてからのこと。なかなか1軍へのチャンスが掴めずに、ファームで研鑽を積んでいた時期。「常に諦めない気持ちを持ってやっていました」。1軍を目指し、日々、諦めずに戦う姿と重ねる“バイブル”だった。

 日々、ひたむきに野球と向き合う姿は今も変わらない。ナイトゲームの際、栗原の1日は長い。毎朝8時半頃には起床して軽い朝食を摂ると、PayPayドームへ向かう。試合開始の約7時間も前、10時半から11時頃には球場に入る。ランチを摂るとお風呂に入って体を温め、まずはウエートトレーニングに汗を流す。

 その後、グラウンドで行われるアーリーワークに参加して打撃練習を行い、全体練習へ。練習が終わると軽食を摂り、トレーナーにマッサージを受けるなど、体のケアにも余念はない。試合が終わっても、やるべきことがある。夕食を摂って栄養を補給すると、毎日決まってティー打撃を行って1日を締める。「その日感じたこととかを色々できる場でもあるんです」。試合で感じたこと、修正点などをその日のうちに確認してから帰路に就く。

「やりたいことが多いんです。でも、それをやらないと不安になったり、後悔しそうなんで。だから、必ずやるべきことをやるようにしています」と栗原は語る。万全の準備を整え、後悔のないように日々を過ごす。たとえ調子が上がらなくても、その姿勢は変わらない。その努力が実を結ぶ時が必ずやってくるはずだ。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)