【連載・周東佑京】迎えた愛息の1歳の誕生日…“リモート立ち会い”で見届けた誕生“秘話”

ソフトバンク・周東佑京【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・周東佑京【写真:藤浦一都】

リーグトップの15盗塁…周東なりに表現する家族や子どもの存在とは

 鷹フルがお届けする主力4選手による月イチ連載、周東佑京選手の「6月前編」です。今回のテーマは「息子」。実は最近、第1子の長男が1歳になりました。1年前の記憶から、すくすくと感じている成長など、家族について明かしてもらいました。「後編」は6月17日(土)に掲載予定。昨年に行われた現役ドラフトで阪神に移籍した大竹耕太郎投手について語ります。

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 6月9日の巨人戦(PayPayドーム)の試合前だった。円陣での声出しを周東が務めた。「私事なんですけど、先日うちの子どもが1歳を迎えました」と頭を下げる。「子どもっていろんなことに挑戦すると思うんです。大人になってくると挑戦することはためらうと思うんですけど、ためらわずに、挑戦しましょう! 交流戦、優勝しちゃいましょう!」とチームメートを鼓舞していた。

 昨年6月3日、第1子となる男児が誕生したことが球団から発表された。体重3056グラムで生まれた息子はつい最近1歳の誕生日を迎えた。「成長は感じますよ。歩き始めたりするし、2歩とか3歩とか。やっと“人間”になってきたなと思って見ています」と目尻を下げる。家を守ってくれる妻にも感謝しながら、自身は日々グラウンドで全力を尽くしている。

 1歳になり、家族でお祝いもした。「おもちゃを買いましたね。(息子がハマっていることは)なんなんですかね、わからないです。いろんなものを見せたら喜んでいます」と近況を語る。さすがにまだ野球は「わからないと思います」というが、息子と一緒に、父親も成長しているところだ。

 平日なら、ほとんどがナイターゲーム開催。帰宅しても「ほとんど寝ています。たまに起きていますけど」と、寝顔を見て力へ変える。シーズン中だと家での過ごし方1つですら、グラウンドへの準備となるだけに、常に支えてくれる妻への感謝は尽きない。

 愛息が誕生した時、周東は遠征中だった。出産に立ち会うことはできなかったが「リモートで繋いでもらった」。スマートフォンを通して喜びを分かち合ったという。遠征から帰ってようやく顔を合わせることができ「生まれるけど、見ていなかったから。現実味があまりというか……。会ってやっと生まれたんだって思いました」と初めて実感ができた。

「遠征から帰ってきても、まだ入院中だったので。退院するまでは電話だけでした」

 野球選手にとって、家族や子どもの存在はモチベーションの1つとなるはず。だが、周東はいつだってプロ野球選手として最善を尽くしてきたと強調する。周東なりの価値観で、家族や息子の存在を表現した。

「子どもができたから頑張りますってよく聞きますけど、子どもができる前も頑張っていますし、やることはちゃんとはやっているので。『より頑張る』っていうのもおかしいと思いますし。家族のために頑張ろうとは思いますけど、うん……、難しいですね」

 今季はここまで46試合に出場して打率.186と打撃面が課題であることは本人が一番わかっている。15盗塁こそリーグトップではあるが、自分のポジションを確立しようと試行錯誤を繰り返す日々だ。支えてくれる人のために、何よりも自分自身のために、周東はグラウンドに立つ。

(竹村岳 / Gaku Takemura)