2軍の成績だけでは測れない? 斉藤和巳コーチが語っていた1軍と2軍にある“違い”

降板時に拳を合わせたソフトバンク・有原航平(左)と斉藤和巳投手コーチ【写真:荒川祐史】
降板時に拳を合わせたソフトバンク・有原航平(左)と斉藤和巳投手コーチ【写真:荒川祐史】

1軍での実績がある投手ほど「2軍で抑える難しさも正直ある」

プロ野球とは分からないものだ。2軍の成績だけでは決して測れないと改めて感じさせたのが、ソフトバンクの有原航平投手だった。6日に行われたDeNA戦で移籍後初となる先発マウンドに上がると、7回途中102球を投げて5安打1失点(自責点はゼロ)と好投した。同点で降板となり白星はつかなかったものの、上々の投球を見せた。

 レンジャーズからFAとなり、今季からホークスに加入した。キャンプ中から開幕ローテ候補の1人として競争を続けてきたが、オープン戦2試合で防御率10.29と結果を残せず、開幕を2軍で迎えた。ウエスタン・リーグでも8試合に登板して2勝0敗、防御率3.83。コンスタントに登板を続けていたが、十分な結果が出ているとは言い難かった。

 直近の2軍戦登板は5月25日の中日戦(ナゴヤ)だった。この試合、有原は2回に3連打などで3点を失うと、4回にも大量4失点。結果、5回を投げて8安打7失点を喫していた。ただ、開幕投手を務めた大関友久投手が体調不良により戦線離脱。代役候補として急きょ白羽の矢が立ったのが、登板間隔にも余裕があった有原だった。

 2軍での投球内容を見ると、大きな期待は抱きにくい状況だった。斉藤和巳投手コーチら首脳陣も、1軍の緊張感で投げる中での“変わり身”に期待する部分もあった。蓋を開けてみれば、どうだろう。7回途中1失点。DeNA先発の今永と堂々たる投げ合いを演じて見せた。

 斉藤和コーチが指摘したのは1軍と2軍にある“違い”だった。「気持ちの入り方が違うのは当然のことなんで。そんなに違ってもらっても困るんだけどね(笑い)。2軍の結果がアテにならないことも当然ある。あれだけの実績があるピッチャーとなると逆に難しい」。1軍での実績が豊富な選手こそ、2軍で継続して結果を残すことは難しいという。

 日々、リーグ優勝を目指す1軍の舞台で、選手たちはとてつもない緊張感やプレッシャーの中で戦っている。かたや2軍は、1軍を目指す上での競争の場とはいえ、緊張感やプレッシャーは1軍とは比べものにならない。常にその1軍で戦ってきた選手、有原のようなタイトル獲得の実績もある実力者であれば、1軍で投げる時ほどの緊張感やアドレナリンが出ないとしても、それは想像に難くない。
 
 また、斉藤和コーチは1軍の打者では起こらないことが、2軍の打者相手では起こることもあるという。「1軍であれば、この状況でこの球を打たない、手を出して来ないよな、というボールを2軍では打たれたりする。『初球からこれ待ってたの?』というようなことも結構ある。1軍のピッチャーが2軍で投げて打たれることっていうのは結構ある。これはピッチャーじゃないとわからない」。

 明確に存在するという1軍と2軍の違い。有原もまたこのケースに当てはまるのだろう。「ピッチャー心理からすると、2軍で抑えるという難しさも正直ある。(現役の時にそういう経験も)あるから気持ちはわかる」と語っていた斉藤和コーチは「それじゃアカンのやけどね、競争だから抑えないと」とも付け加えた。2軍の成績では全ては分からない。そんなところもプロ野球の面白さなのではないだろうか。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)