正木智也の悔し涙は「めちゃくちゃ分かります」…“経験者”周東佑京が代弁する心中

ソフトバンク・周東佑京【写真:矢口亨】
ソフトバンク・周東佑京【写真:矢口亨】

19日に登録抹消…開幕から18打数無安打の大不振に「自分に腹立たしいと思います」

 ソフトバンクの正木智也外野手が19日、出場選手登録を抹消された。開幕して18打数無安打。藤本博史監督は「悪くなってこの1年終わってしまうよりは、いい状態にもう1回戻して、こっちに来てまた打席を右左関係なくあげようと思っている」と今後について言及したが、正木自身が結果で応えることはこの時点ではできなかった。

 正木は9日の西武戦(平和リース)で2打数無安打。チームは勝利したものの、守備でも失策するなどスタメン起用に結果では応えられず。途中交代となり、ベンチではグラウンドを真っ直ぐに見つめて悔し涙を浮かべた。藤本監督から「50打席は与える」と言われていたものの、思わず感情があふれてしまった。その気持ちを理解できる1人が、周東佑京内野手だ。

 周東は2020年9月12日の西武戦(PayPayドーム)で二塁の守備で2失策した。川島慶三内野手ら先輩から声をかけられ、ベンチで目を真っ赤にして涙を流した。周東は「(正木が)泣いていたのは知らなかったです」とした上でこう続けた。「でも悔しいんじゃないですか。それはめちゃくちゃわかりますよ。使ってもらって結果を出せないのは自分に腹立たしいと思います」。

 正木の心境について推察したのは悔しさはもちろん、チャンスをもらっていながらも応えられない自分への不甲斐なさだった。「これだけ結果が出ない中で試合に出ているのもキツイところがあると思いますし、みんなが気を使って話しかけてくるのも、僕はなんかすごいムカついていました」という。ムカつくというのは当然、気遣いに対してではなく、気を遣わせてしまっている自分に、だ。

「あれだけ練習したのに、なんでできないんだろうって僕はめっちゃ思っていました。僕自身も正木はもっとできると思っています。その中で結果を出せないもどかしさはあると思いますよ」

 周東自身は今だから冷静に、自分の涙を振り返ることができる。「なんで泣いたんだろうって思います。泣くまでいかなくていいだろみたいな」と笑う。失策を犯した翌日はスタメンから外れたが、代走で出場。「別に『やってやろう』とかもないですし、いつも通り頑張ろう、くらいでした」としっかり切り替えはできていた。

 4日からのオリックス戦(京セラドーム)で、正木が鋭い中飛を放った時。周東は正木をベンチ前で迎え入れて、人差し指と親指でジェスチャーしながら「あとちょっとだった」と声をかけていた。2年目の23歳。まだまだ自分の居場所を確立させることだけを考えていい年代だ。周東だって今宮健太内野手だって、悔し涙が自分を強くさせてくれたのだから。

「笑顔がまだあるから、大丈夫だと思います。笑っている間は大丈夫だと思いますし、心配していないです。あいつ自身も、1本出たら変わってくると思うので。まだまだシーズンも序盤ですから」

 取材した時点ではまだ正木の降格が決定する前だったが、周東ははっきりと正木の“逆襲”に期待していた。「悔しい」と思える気持ちがあるなら、何度だってやり返すチャンスはある。そうやって先輩たちも強くなったのだから。

(竹村岳 / Gaku Takemura)