「何気なく投げた1球ではない」 痛恨先頭弾も…大関友久が徹底した後悔しないだけの準備

西武戦に先発したソフトバンク・大関友久【写真:竹村岳】
西武戦に先発したソフトバンク・大関友久【写真:竹村岳】

西武に敗れて連敗…大関友久が9回に見せたマウンドへの執着とは

 野球の怖さを知るにはこれ以上ない経験となった。ソフトバンクの大関友久投手が8日、西武戦(宮崎)で先発。8回1/3を投げて1失点も今季初黒星を喫した。初回に愛斗外野手に許した先頭打者ホームランが最後まで響き「入りで1点取られてしまって、結局その点で負けてしまった。そこの1点が相手の投手と、まだ差があったのかなと感じました」と反省した。

 3月31日のロッテとの開幕戦(PayPayドーム)で白星を挙げ、今季2度目のマウンド。相手先発の高橋光成投手も西武の開幕投手を務め「相手が好投手なことも頭にあった」とロースコアの試合展開は想定していた。「その中でも先頭にホームランっていうのは流れ的にも苦しくなる」と反省したが、教訓も収穫も詰まった登板になった。

 2回以降は「スライダーを右打者にしっかり投げられていた。そこを見せてから、相手の反応も良かったと思います」と尻上がりの投球だった。地方球場でアジャストが必要なマウンドにも「ちょっと低かったので出力が出づらいところがあって。その中でも丁寧に低めに、その日の状態に合わせて投げる大事さを知りました」と順応する。野手にとっても黒星を消したいと思うような頼もしすぎる内容だった。

 試合前、バッテリーを組んだ甲斐拓也捕手との打ち合わせには「風が強かったのもあって、右打者も多かったので。低めにしっかり集めていくっていう作戦だった」と明かす。この日、右翼から左翼に吹いていた強い風は当然、頭に入れてマウンドに上がった。「集中して入れていました」と立ち上がりを表現する。“1球の重み”という言葉があるが、大関自身に後悔は全くない。

「何気なく投げた1球ではないので、1球の重み(を知った)という感じではないですけど。まだまだ入りの部分が甘かったとは感じました」

 9回1死で山川穂高内野手を迎えたところでベンチは松本裕樹投手にスイッチした。球数は「107」だったが、藤本博史監督は「4回目だったし、110球近くいっていたので。山川からは右投手だった」と交代の理由を語る。もちろんチームの勝利が最優先。それでも、この展開での降板に、心からマウンドへの執着を見せた。

「入りからゼロで、しっかり9回を投げられるように。そこを毎回目指しているんですけど、実行できるように1週間準備したいと思います」

 地方球場で見せた尻上がりの対応能力も、エースとの堂々の投げ合いも、全てが大関を成長させる。結果こそ黒星だったが、投手としての能力と、強い気持ちが見えた試合だった。

(竹村岳 / Gaku Takemura)