開幕3戦で与四球5「絶対に出さない」 斉藤和巳コーチが伝えてきた「勝負する勇気」

ソフトバンク・津森宥紀【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・津森宥紀【写真:藤浦一都】

ロッテに開幕3連勝…3試合で5与四球に藤本監督「変わってきている」

「打たれる」ことに投手陣の成長を見た。2日のロッテ戦(PayPayドーム)に5-3で勝利したソフトバンク。8回に登板した津森宥紀投手は1イニングを1安打無失点に抑えた。開幕3連勝スタートに貢献し「もっとできるかなという感じはあります。より一層、集中力を持って、気持ちは入りました」と振り返っていた。

 まず荻野を空振り三振。中村奨を投飛に仕留め、角中を迎えた。直球で押しながらもフルカウントとなり、迎えた6球目。149キロ直球を左前に運ばれた。続く山口を見逃し三振に打ち取って守護神のロベルト・オスナにバトンをつないだが、津森が具体的に振り返ったのがヒットを打たれた角中との対戦。チームに浸透している意識が、はっきりと表れたシーンだった。

「角中さんが(打席の)ぎりぎりに立たれて、投げにくい感じがあった。でも絶対に四球を出さないって気持ちもあったので。逆にあそこで四球を出してしまったら流れがいってしまう。結果的に打たれましたけど、四球じゃなくてよかったかなとは思います。和巳さんもストライクゾーンでしっかり勝負と言っていたので」

 安打も四球も相手に出塁を許すことには変わりない。ただ、四球は首脳陣がずっと掲げてきた課題。斉藤和巳投手コーチも「結局バッターは打って3割。失敗する確率の方が高いんやからさ。勇気さえ持てればいい方向にいく可能性の方が、確率論的には高いから」と話す。

 開幕カードの3試合で与えた四球は5つだった。開幕8連勝を飾った昨季は3試合で13個を与え、結局、シーズン与四球は「474」を記録した。逆転優勝を許したオリックスは「375」で、その差を大きく見せつけられたシーズンだった。オフに斉藤和巳投手コーチが就任すると「ゾーンには絶対に投げなあかんねやから。際どいところでボールになるより、ちょっと甘いところで勝負しにいく勇気は絶対に持っておいた方がいい」と伝え続けてきた。その意識は少しずつではあるが、確実に浸透している。

 リバン・モイネロ投手がWBCに参加したことで調整が遅れ、現在はファームで調整している。8回の男が不在だが、ブルペンの雰囲気について津森は「しっかりオスナにつなげるように、みんなで頑張っている状態です」と代弁する。守護神にオスナが君臨していることで「とりあえず『頑張ってオスナ』みたいな感じですね」が“合言葉”になっているようだ。開幕して間もないが、ブルペンも一丸となっている。

 藤本監督も四球に対する意識について「四球0というのは間違いなく無理なので。そこは去年に比べたら間違いなく変わってきていると思います」と胸を張る。まだ3試合ではあるものの、何度も口を酸っぱくしてきた効果は、確実に結果となって表れ始めている。

(竹村岳 / Gaku Takemura)