「この3日間は無理」小久保監督を悩ませる2軍の“立ち位置” 難しくなる出場機会の確保

ソフトバンク・小久保裕紀2軍監督【写真:米多祐樹】
ソフトバンク・小久保裕紀2軍監督【写真:米多祐樹】

WBCから帰ってきた3選手が2軍戦に出場…甲斐拓也が適時二塁打

 ソフトバンク2軍は28日、ウエスタン・広島戦(タマスタ筑後)に5-1で勝利した。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に参加していた周東佑京内野手が「1番・中堅」、甲斐拓也捕手が「2番・捕手」、牧原大成内野手が「3番・二塁」で出場。それぞれ4打数1安打だった。試合後、小久保裕紀2軍監督が取材に応じた。一問一答は以下の通り。

――WBC組が合流して、朝の円陣でも声をかけていた。
「はい。金メダルを見せてもらいました」

――いかがでしたか。
「オリンピックの方が輝いていました、光的には(笑)。でも、比べるものではないのでね、お互いにお互いの価値があると思いますね」

――3選手をご覧になって。
「内容は悪くなかったですよ。なかなか打席数がね、周東が『1』で牧原大が『2』か。拓也はもうちょっとありましたけど、こっちにいる時の打席数からしたら圧倒的に少ない。でもそれを言い訳にしないシーズンにしてほしいですね。それを言い訳にせずに、あの大会に出場させてもらってよかったという声が届けば届くほど、あそこを目指す選手が増えると思うので。言い訳なしにスタートを切ってほしいです」

――若手にも刺激になるゲームだった。
「そうでしょうね。間近で1軍の選手を見られるのはあるでしょうけど、それよりも彼らがきたら試合の出番がないという方向で、与えられた打席は本当に少ないんだ、出られるのは当たり前じゃないんだって、この2日間ですごく感じると思うので。“1軍半”、すぐに行かないといけない選手はそこを無駄にせずにやってほしいですね。選手を出すのは大変なので。あり余っているので」

――その中でも増田選手や野村大選手が目立った。増田選手は7回のチャンスで代打で適時打。
「増田は今日代打の練習をさせようと思って。やっぱりさすがですね。たまたまチャンスになったので。本当に開幕1軍が紙一重のところで、落ちてきた悔しさと、欲。直前まで(チャンスが)ぶら下がっていたことに対して、勝ち取りたいという思いが強く出すぎたという話をしていたので。そこは仕方ないですよね。そこを目標にしてきたわけなので」

「でも誰だって緊張はするので、緊張した中で自分をコントロールできるのが一流の選手なので。緊張しないというのは責任感が薄いということ。緊張することは悪いことじゃないです。その中でもいつも通りのプレーができるようにメンタルを整えてくれたら」

――先頭打者としての出塁など、野村大樹選手の活躍は。
「そうやね。でもあの牧原大のあれを落としているようじゃファーストでは使えないですよね。チーム、開幕からの連続失策記録がまだ途絶えていないので。あれを捕っていたらゼロで終わっていたからですね。毎試合エラーってなかなかないから。あいつのせいです」

「あのくらいは捕らないと。あの練習はしているんですけど。どうしても真面目に捕りにいきすぎる。固さが出ますよね。晃(中村)はスッと、吸い付く感じの最後の柔らかさがあって上手ですよね。あのくらいはファーストの責任ですから。下のミスは全部ファーストの責任」

――三森選手の状態は。
「僕だけじゃなくて、お客さんが見ても状態が悪いと思いますね。まだ打撃の技術の話はしていないので。とにかく、この状況で落ちてきたので、状態が上がらない限りは、2軍の選手という位置付けなので。徐々にですけど、話していきます。今日は何も言っていないです」

――石川選手、高橋礼選手も登板したが、2軍の選手にはどう見てほしい。
「チャンスはもうあまりないですね、(田上)奏大も中14日とかで次いくので、開幕戦(3月17日)以来です。3軍で投げさせようとしたんですけど、こっちでいいいんじゃないですか? って。中14日って空いてもいいから。なかなかイニングを、重田にしろ三浦にしろ、木村光にしろ。木村はもう中に入れるので」

「そりゃそうでしょう。有原とガンケルまで落ちてきたので。育成の選手を頭数に入れられるかと言ったら、なかなか入れないですよね。なんとか使ってやりたいんですけどね。この3日間は無理ですよ。今週はガンケルまでは決まっているので。オリックス戦にまでいって、やっと奏大の出番です」

――4軍制になって、1軍選手の調整もしないといけないなど、2軍の立ち位置も様変わりした。
「今日メンバーをボードで整理していたら、ほぼ支配下がいなくて。支配下枠を気にせずにできるなと、去年と一番違うところ。それくらい、支配下の選手の層が厚くなっているところは感じましたね。実際、ボードを見て。その中で教育が必要な選手と、そうじゃない選手ははっきりと分けているので」

「試合の対策の提出物はだいぶ減りましたよ。5人、6人くらい。去年は10人くらいいたので。目を通す時間が短くなりました。あとは自分で考えて対策を練ったりするより、自分で気づいたことでやっていく方がいいと思うので。そこまでの準備がわからない子たちに関しては、ある程度出させた上でこの投手に対してはもっとこうした方が確率は高くなるんじゃない? って話はしていかないといけないので」

――その中に笹川選手は入っていますか。
「もちろん。笹川、井上、川原田。3年目の子はみんな入っていますよ。そこを外れたのはリチャードとか増田とか、野村大とか。(渡邉)陸とか、谷川原たちは去年は出させていましたけど、今年は外しました」

――笹川選手とは何か話をされましたか。
「吉康と? 我々サイドで、手をつけようかという話をしていたところだったんですけど。技術的なところで。それが、本人からこうしますと言ってきたのが、一致したので。多分良くなると思います」

「やっぱり自分で気づいて、変えるのが一番。あのチームで一番のヘッドスピードがあって、打球速度はそんなに速くないというのは、ミート率が悪いので。ということは、力強いスイングはしているけど、フィギュア(スケート)みたいな芸術点ではないので。当てないといけないので。当てるためにどうしたらいいのかというメカニックはズレていたんですけど、いつ伝えようかなと思っていたんですけど、本人が気づいて帰ってきたので」

「柳田との後ろの腕の使い方が明らかに違ったことが、自主トレを一緒にしていて今頃何を気づいてんねんって感じはするんですけど(笑)。遅いなって思うけど、こっちがいう前に気づいてきたことが一番、本人の成長のためにはそれが一番早いですよね。納得した上で自分で取り組むので」

――後ろの手の使い方ですか。
「ちょっと下がりすぎていたので。“フライ革命”やけど、みんな間違って最初から下げるんです。最初からは下げていないです、みんな。インパクトで下げるだけなので。みんなインパクトの角度をそのままここに持ってくるので、当たらないですよね。それを本人が自分から言ってきたので。ここをこう、直しますと。かなり意識してやっています」

「試合で使ってやりたいけど、無理ですよね。明日もスタメンではないので。だってホーキンスと、センターに牧原大が入るでしょ。1個しか空いていない。1個に水谷、増田、川村、笹川、緒方とひしめいているので。明日も多分、スタメンではないと思います」

――田浦選手も1軍にいって、左投手が肝になると。
「まだ(開幕1軍とは)決まっていないと思います。確定ではないけど、明らかに去年の田浦よりも全然球が強かったので。どこでどう、何がよかったのかわからないですけど。和田との自主トレもプラスに働いたでしょうし、明らかに去年の真っ直ぐよりも4、5キロ増していたので。いい状態の時にいけてよかったですね。それが結構“術”ってありますよね。悪いときにいってもなかなか結果は出ないので」

――開幕に合わせたわけではないと思うが、調子が上がるタイミングがここできた。
「そんなところで合わせられる選手はもっと稼いでいます。必死ですから。たまたまあっただけ」

――真っ直ぐがいいから変化球が生きている。
「今日の高橋礼にも同じことが言えますけど、カーブであんな空振り、今まで取れなかったじゃないですか。あのカーブであそこまで出されるっていうことは、真っ直ぐがかなり速く感じている打者の対応のし方なので。俺が心配することじゃないけど、板東と礼がどっちがいくんかなっていうのは気になるところですね。どっちがいってもいいなという感じで。それくらい状態がいいです」

「まあ、2軍の投手は投げさせられないですけど。2人で終わると言っていたら、本当に終わってしまった」

(取材・米多祐樹 / Yuki Yoneda)