「なんで自分が?」予想していなかった追加招集 牧原が思い描く“起用法と強み”

ソフトバンク・牧原大成【写真:竹村岳】
ソフトバンク・牧原大成【写真:竹村岳】

「自分のイメージでは守備固めとかそういったところになってくると思う」

 ソフトバンクの牧原大成内野手が1日、WBCに臨む野球日本代表「侍ジャパン」に追加招集された。脇腹を痛めて辞退となった鈴木誠也外野手(カブス)の代替選手。牧原は正式発表を受けて「正直、侍ジャパンに選ばれるっていうこと自体、思っていなかったのですごい不思議な気持ちです。自分でも正直、なんで自分が選ばれたんだろうっていうのはあんまり分からないんで、行ったら聞いてみようかなと思います」と、心境を語った。

 チームの主砲として期待された鈴木に代わる追加招集。牧原は「正直、代わりになれるわけでもないと自分で思ってるので、鈴木選手の代わりになるっていうよりは、自分のやるべきことをしっかり考えながらやりたいなと思っています。行くからには試合に出たいという気持ちはありますけど、すごいメンツなので、自分が出る隙もないと思うんで」と語る中で起用のイメージも思い描く。

 牧原の最大の武器は内野、外野問わず高いレベルで守れるユーティリティ性にある。昨季もセカンド、サード、センターをこなし、外野の両翼、さらにはショートを守ることもできる。自身でも「自分のイメージでは守備固めとかそういったところになってくると思うんで、そこをしっかりイメージしながらやっていきたいなと思います」と役割を分析した。

 鈴木に代わる外野手での招集ということになるが、牧原は「それだと多分、他に候補に挙がった選手とかの方が全然、センターのレベルも打撃力も高い」と見ている。他の選手ではなく、なぜ自分だったのか。思い当たるのは「自分が呼ばれたっていうことは、いろんなところを守れるっていうところ」だった。

 その役割を自覚しているからこそ、早速、行動にも移した。この日行われたソフトバンクのシートノックでは内野のポジションに入って打球を受けた。今季、牧原はセンター専念を決断し、キャンプでも練習に励んでいた。「特守ではやっていたんですけど、普通のチームプレーでの内野は入っていないです。今年はセンター1本でっていうところであまり練習をやっていなかったので、少しでもやっておかないといけないなと」と準備に取り掛かった。

 牧原の“準備力”といえば、思い当たるのが昨年3月30日のロッテ戦だ。栗原陵矢内野手が左翼の守備中に膝を怪我した。グラウンドに倒れ込み、場内が騒然とする中で、すぐさまグローブを手にキャッチボールを始めた。チームのアクシデントに動じることなく“自分のやるべきこと”に気づき、すぐに準備にかかった姿は話題にもなった。

「全国民が見る試合だと思うので、その中でミスしてしまったら、たくさんの人にいろんなことを言われるんだろうなっていう不安がすごいありました。普通のシーズン中でも緊張するんで、それこそすごい重圧のある試合で、自分がプレーするイメージが湧かなかった」と不安も口にした牧原。どんな役割になろうとも、この準備の力で侍ジャパンの力となってくれるはずだ。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)