なぜ「無理」と言われるのか MLB球団と“頂上決戦”を…三笠GMが本気で掲げる「世界一」

単独インタビューに応じたソフトバンクの三笠杉彦GM【写真:福谷佑介】
単独インタビューに応じたソフトバンクの三笠杉彦GM【写真:福谷佑介】

「NPBは世界で2番目のリーグ。なぜ『無理でしょ』と言われるか分からない」

 ソフトバンクの三笠杉彦GMが単独インタビューに応じ、球団が掲げる「世界一構想」について語った。球団は「ソフトバンクホークス」となった2005年から「目指せ世界一!」をスローガンに掲げて球団運営を進めてきた。現時点でMLB球団とNPB球団が頂点を争う大会はないが、三笠GMによると、ソフトバンク球団は“世界一決定戦”の開催を模索すべく、MLB機構などと定期的に情報、意見交換を行っている。

 ソフトバンクが掲げる「目指せ世界一!」のスローガン。直接、MLB球団と対戦する機会のない現状にあり、壮大な目標に冷ややかな意見もある中で、三笠GMはキッパリとこう語る。

「NPBは世界で2番目のプロ野球リーグです。世界で2番目のリーグであるNPBの球団が、世界一を目指すというのは普通のことだと思っています。他のスポーツでは当然のこと。世界ランキング100位の人が世界一を目指すと言っているわけではなく、世界で明らかに2位の規模と人気を誇るリーグ、組織で優勝争いをするチームが世界一を目指すということになぜ『無理でしょ』と周囲が言うのかが分かりません」

 プロ野球の世界でNPBはMLBに次ぐ人気、実力を誇る。WBCでも第1回、第2回と2度の世界一に輝いている。MLB球団に事業規模ではなかなか及ばないものの、そこに立ち向かう、いずれ超えるために、さまざまな取り組みを重ね、道筋を模索していくのは、プロスポーツ球団として当然だと、ソフトバンクは考えている。チーム強化のために出来る戦略は実行する。NPB初の4軍制新設や、15歳のホセ・オスーナ外野手の獲得に代表されるような外国人選手を自前で育成するようになったのも、根底にはこの考えがある。

 世界一になるための大前提となるMLB球団との対戦機会。「MLBの国際部門とは定期的に意見交換をしています。なんとか世界一決定戦みたいな道筋ができないかということは、ずっと検討しています」と三笠GMは明かす。

 2020年の新型コロナウイルスの感染拡大により、世界的に人の往来が制限されていた。世界一決定戦設立へのアプローチも停滞していたが、制限もほぼなくなり、三笠GMも「今年はWBCもありますし、人の行き来も従来に戻りつつあるので、また2023年以降、世界一決定戦の道筋をどう作っていくのかも重要な検討課題として、色々なことにトライをしていきたいと思っています」と語る。

“世界一決定戦”の実現がいつになるかは分からない。2023年に開催される可能性もあれば、10年先、20年先になるかもしれない。ただ、ソフトバンクは、いつか来るその日のため、“本気で”世界一の球団になるために動いている。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)