藤本監督も絶賛「素晴らしい」 2安打でアピールした正木智也が受け継ぐ鷹の“常勝イズム”

侍ジャパン壮行試合に出場したソフトバンク・正木智也【写真:荒川祐史】
侍ジャパン壮行試合に出場したソフトバンク・正木智也【写真:荒川祐史】

侍ジャパンに連敗 正木智也が2本の二塁打でアピール「いい投手ばかり」

 ソフトバンクは26日、ひなたサンマリンスタジアム宮崎で野球日本代表「侍ジャパン」との強化試合「カーネクスト侍ジャパンシリーズ2023 宮崎」に臨み、2-4で敗戦した。「6番・右翼」で出場した正木智也外野手が2安打1得点。山本由伸投手から左翼線への二塁打を放つなど、2本の長打で持ち味を発揮した。

 まずは2回1死、マウンドには山本が立っていた。122キロの変化球に手を伸ばすと、打球はしぶとく三塁線を破る二塁打となった。続くガルビスの適時二塁打で生還し、昨季も苦しめられた沢村賞投手から先制点を奪った。4回1死でも左腕の高橋奎二投手からフェンス直撃の二塁打。激しい競争の中で「いい投手ばかりなので、打てないで当たり前くらいにいきました」と、開き直りながらもアピールに成功した。

 25日に佐々木朗希投手に2回無失点投球を許すなど、チームは侍ジャパンに連敗を喫した。3月上旬のWBC開幕に向けて調整する侍ジャパンに対し、3月31日のレギュラーシーズン開幕に照準を合わせているホークス。ましてや相手は日本を代表するメンバーだ。あらゆる条件を踏まえても、ホークスが有利と言える状況ではない。その中で正木は「昨日負けてしまって、それでも悔しかった。今日もみんなで『勝ちにいく』と言っていたので」とチームの雰囲気を代弁した。

 チームは昨季、山本由伸に対して5試合対戦して3勝を献上した。ルーキーだった正木自身は対戦はなかったが、あと一歩でオリックスに逆転優勝を奪われた。1勝に対してこだわってきたからこそ、昨季の悔しさを誰も忘れていない。「(今日も)勝とうという雰囲気でした。僕もやりやすい雰囲気で野球をやらせてもらっている」と今季2年目ながらも、常に勝利を宿命づけられているホークスの“常勝イズム”は感じ取っているつもりだ。

「(昨季は)最後、後半戦は1軍にいさせてもらって。目の前で負けたというのもありますし、僕自身も悔しい思いをした。自分自身もそこに加われなかった悔しさもあって、チーム的な悔しさと個人的な悔しさと、そこは今年に生かしていきたいと思います」

 この日は右翼での出場だった。一塁も守れる中で藤本監督は「素晴らしい」と褒めつつ「ファースト、レフト、ライトっていうところ。そこでポジション取ってくれたらいいんじゃないか」と起用のイメージを語る。疲れ気味だったキャンプ中盤も、ここにきて「上がってきているんじゃないか」と目を細める。少しずつ明暗が分かれ始めている競争の中で、とにかく打ってアピールし続ける。

 正木自身、慶大の4年春の神宮大会で日本一を経験した。ずっと勝利に対するこだわりを持って野球をやってきた。「そこ(開幕スタメン)が最初の目標。まだまだアピールも足りないと思うので、これを継続していけるように」と目標を見据える。急いで帰りのバスに乗り込む姿も、23歳の若鷹らしかった。

(竹村岳 / Gaku Takemura)

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