不振でも腐らなかった理由…「クソ真面目」と言わせるほどガルビスを突き動かすものは

ソフトバンクのフレディ・ガルビス【写真:竹村岳】
ソフトバンクのフレディ・ガルビス【写真:竹村岳】

昨季不振の要因、自分を突き動かす思い…鷹フル単独取材で明かした

 黙々と調整を続け、必ず昨季とは違った姿を見せようとしている。ソフトバンクのフレディ・ガルビス内野手が春季キャンプに初日から参加。藤本博史監督は「『野球人生の中で一番このオフに練習してきた』と言っていますから」と取り組みを代弁した。鷹フルではガルビス本人を単独で取材。オフの過ごし方や昨季の心境などに迫った。

 オフを過ごしたのは、米国マイアミ。昨年10月の帰国以降「10日から15日くらいしか休んでいない」と振り返る。主に取り組んだのは体の状態と、スイングの軌道を良くすることの2点。「日本での打席の映像を持って。アメリカに自分のヒッティングコーチがいるので、見てもらって。自分の打撃がどうしたら日本の野球に合うのか、取り組んでやっていました」と具体的に明かした。

 NPB1年目の昨季は38試合出場に終わった。初アーチは逆転満塁弾とインパクトを残したが打率.171、2本塁打、11打点。シーズンの大半を2軍で過ごした。苦しんだ要因についてガルビス自身が挙げたのは「変化球」と、日米での「攻め方の違い」だった。

「一番の違いはアメリカで見ない球種、変化球があるので、それが多いか少ないかが、自分がアダプト(適応)できなかった部分。特にフォークですね。こっちでフォークで三振を取るような状況だと、アメリカだとスライダーが多いと思う。特にフォークにはフォーカスしてトレーニングしていました。アメリカであまり見ない球種に慣れて、それをとらえられるイメージではいます」

 メジャー通算109本塁打の実績を引っ提げてNPBにやって来たが、思うような結果を残せなかった。プライドを思えば、2軍で過ごす中で葛藤や自責の思いもあっただろう。小久保2軍監督に「クソ真面目」と言わせるほど、なぜ前だけを見ることができたのか。突き動かしていたのは、プロ意識と感謝の思いだ。

「自分はプロフェッショナルなので、チャンスをくれたソフトバンクのために自分が100%の力でプレーするのは当たり前のこと。去年でいえば特に打撃面の成績が著しく良くなかった。でもチームのために、常に自分が100%の努力をして、優勝の手助けをするためにやることが自分の仕事だと思っているので。そこが自分を動かしているモチベーションじゃないですけど、そういうメンタリティを持ってやっています」

 さらに昨シーズン中、子どもたちも含め家族も日本にきていたことも大きかったという。「野球以外のところ、日本の国や食事もそうですけど生活は満足できていた。他の部分で難しいことはなかったです」と、生活面でのストレスは少なかったことを明かす。ならばもう、家族のためにも自分のためにも突き進むだけ。12日のシート打撃は腰の違和感で回避したが、ここまでA組で内野手の座を争っている。

 チーム内の競争は激しい。野村勇内野手なら遊撃、栗原陵矢外野手なら三塁など、このポジションで勝負したいと表明する選手が多い。藤本監督は複数ポジションの重要性も話しているが、ガルビスは「ショートだけでなく、チームが勝つために必要だと監督が思うところで守れるようにしたい」と強調した。いつだって最優先しているのはチームの勝利。だからガルビスが腐ることはない。

 生活面における問答を終えて、次の質問をしようとした時。ガルビスは付け足すように言った。「特に福岡が大好きです」。こんなにも真っ直ぐでホークスを愛している助っ人が、報われないはずがない。

(竹村岳 / Gaku Takemura)