「意図的に出せた」151キロ 大関友久が目をつけた進化の鍵「力には方向がある」

打撃投手を務めたソフトバンク・大関友久【写真:米多祐樹】
打撃投手を務めたソフトバンク・大関友久【写真:米多祐樹】

第1クールのブルペンで151キロを計測「意図的に出せた」

 地に足をつけてきたから、驚くことはない。一歩ずつではあるが、確かに進化を実感しているところだ。大関友久投手が宮崎春季キャンプ第1クール最終日の5日、打撃投手としてフリー打撃に登板。制球面で苦しんだが、44球を投げて安打性は1本だった。

 5勤だった第1クールが終了した。大関はブルペン投球で既に151キロを計測した。「調子が良くて出たわけじゃなくて、ある程度プランを組んできたところで意図的に出せた球速だったので」。ただその日の状態が良かった、という言葉にはおさまらない裏付けがある。球速アップを目指し、大関が目をつけたのは意外にも「物理学」だった。

「一番は、基本的な物理学から自分でトレーニングを選んで。そういうプログラムを自分の中で作って、それがハマっている感じです。力にはいろいろ方向がある。得意な部分や鍛えていない部分を明確にして、どこを上げればスピードが上がるのか考えて。試してよくなってきたなという感じです」

 まずは体におけるさまざまな「パワー」を理解する。それを一つの方向に集約して、球速にあらわれるようにフォームの理解も深めていった。手に取ったのは一冊の本。「『物理学の基本』みたいな。そんな熱心に読んでいる訳ではなくて。シンプルな物理学の本です」。身につけた知識を球団のトレーナーたちと擦り合わせて、昨年11月から取り組みを継続してきた。

「(球速アップが必要と思ったのは)自分の中で目指すところがすごく高いものだったので、ちょっとしたマイナーチェンジだとあんまり難しいと思うので。器用なタイプでもないので、根本的なものをちょっと大きくしないと強くしないといけないと考えました」

 昨季は7勝を挙げ、今季4年目を迎える。大関自身も「3年間で作ってきたものが間違いなくある。去年まずまずの結果を残せたのもその部分があったから」と手応えを感じている。「物理は全然、得意じゃないです」と苦笑いしたが、進化の鍵が物理学にあると気づいて、始めた取り組みだ。

 今季の目標は沢村賞に輝くこと。2度の同賞を経験した斉藤和巳投手コーチとも「『土台の幹を太くしていくのに集中していく。土台を変えちゃったら戻れなくなるから』と言われて。そこは自分でもしっかり意識して、どんどん太い幹にしていければ」。大関のスタイルも理解してもらいながら、理想に近づく手助けをしてもらっている。

 目指している球速については「そこは言わないようにして。何かあのプレッシャーになっちゃうんで」と明言しなかったが、2月にして151キロを計測したことが進化の証だ。「ここからが大事な時期になる」と語る目線は、また足元を見つめていた。

(竹村岳 / Gaku Takemura)