近藤健介が目指す長打の増加 打撃に危機感を覚えた東京五輪での“出来事”

自主トレで汗を流すソフトバンク・近藤健介【写真:米多祐樹】
自主トレで汗を流すソフトバンク・近藤健介【写真:米多祐樹】

「みんなのフリー打撃、試合の打撃を見て、ちょっとこのままじゃ違うかなって」

 球界屈指のヒットマンでさえも、現状に満足することなく、常に上を目指している。“変化”を志すキッカケは、日本を代表するスラッガーたちにあった。12日に鹿児島・徳之島での自主トレを公開したソフトバンクの近藤健介外野手は「一昨年くらいから、少し長打を増やしたいだとか、そういう思いも出てきている」と長打力アップを誓った。

 毎年のように打率3割、出塁率4割を記録するアベレージヒッター。そんな打撃スタイルに危機感を覚えたのは、2021年に行われた東京五輪だった。日本代表の金メダル獲得にも貢献したが「オリンピックに行って、みんなのフリーバッティング、試合のバッティングを見て、ちょっとこのままじゃ違うかなっていうことは思いましたね」と経緯を明かした。

 東京五輪の侍ジャパンでは24人が選出され、そのうち野手は12人。西武の源田壮亮内野手や広島の菊池涼介内野手ら、打線の1番や2番を託されるような選手もいた一方、ヤクルトの村上宗隆内野手、当時オリックスの吉田正尚外野手、柳田悠岐外野手らスラッガーの打球を間近で目にした。通算打率.307を誇る近藤ですら「このままじゃ違う」と思わされた期間だった。

 今季からチームメートとなる柳田には「敵でしか見てなかったので、本当にバケモンだなとずっと思っていた」と、唸るほど。持ち味に改めて自信を持つ一方で、自分自身もさらに進化していかないといけないと強く感じた。自主トレでも強く振る意識でバットを握り「自分がコントロールできる範囲の強いスイングで、強い打球を打つっていうのはもっと心がけていかないとなってのがすごい思わされたオリンピックの期間だったかなと思います」と言う。

 キャリアハイは2021年の11本塁打。12球団でも屈指の広さを誇る札幌ドームから、ホームランテラスがあるPayPayドームへと今季は本拠地を移す。キャリアハイも期待できそうだが、持ち味を見失うことはない。「任された打順の仕事はしっかりしたいなと思いながら、11本を超えられるようにというイメージですね。出塁率や選球眼を評価していただいていると思うので、いいところを殺してまでというのは今年に関しては思っていないです」と具体的なビジョンを描く。

 出塁能力に加え、走者を還すなど、さまざまな役割が期待できる中で、藤本博史監督は「3番・左翼」で起用する構想を明かしている。その後ろには柳田が入る可能性が高く「自分が塁に出て、ランナーがいる状態で回すっていうことが一番得点力が上がると思う」とキッパリ語った。

 意識の面での変化もある。「しっかりと体を使って後からバットが出てくるっていう、しなりじゃないですけど、そこを意識するようになりました」。持ち味である器用さ、バットコントロールを大切にする中で、自分の”ツボ”にきた球に対しては強く振る。練習前には「ずっとやっている」というピラティスでじんわり汗を流した。呼吸を意識しながらインナーマッスルを動かし、集中した状態を作ることで脳の神経を刺激し、活力を最大限に引き出すトレーニングだ。「コンディショニングを整えるという意味でも、怪我したら意味がないので」。万全の状態でシーズンを戦うことができれば、求めている長打の増加は数字となって現れるはずだ。

(取材・米多祐樹 / Yuki Yoneda)