海野隆司が感じた“未熟さ” サヨナラ被弾で泣くより「やらなければいけなかった」こと

契約更改を行ったソフトバンク・海野隆司【写真:代表撮影】
契約更改を行ったソフトバンク・海野隆司【写真:代表撮影】

「キャッチャーである以上は最後まで堂々としなければいけなかった」

 ソフトバンクの海野隆司捕手が25日、本拠地PayPayドーム内の球団事務所で契約更改交渉を行い、今季の年俸1150万円から150万円増となる年俸1300万円(金額は推定)で来季の契約を結んだ。更改後に行われた会見では、10月1日の西武戦(ベルーナD)で山川穂高内野手にサヨナラ本塁打を浴びた直後に感じた、自身の“未熟さ”を語った。

 今季、11試合でスタメンマスクを被り、自身最多の47試合に出場。「1年間のほとんどを1軍で試合に出たり、ベンチで試合を見たりと、1軍の中で多く出られたのは良かったと思います」と振り返りつつ「今年の最終戦の前、10月1日あそこの試合で優勝できなかったのは、そこに対しての悔しさは感じました」と語った。

 勝つか引き分けでリーグ優勝が決まる一戦。1点ビハインドの9回に柳田悠岐外野手が起死回生の同点ソロを放ち、延長戦にもつれ込んだ。このまま引き分けでも優勝が決まる状況で、海野は8回から甲斐に代わってマスクを被っていた。迎えた延長11回。2死一塁で藤井皓哉投手とのバッテリーは、相手の主砲・山川にサヨナラ2ランを被弾して涙を流した。

 海野が悔い改めたのは、この場面だった。サヨナラ2ランを浴びて悲嘆に暮れ、森と山川がホームベースを踏む瞬間まで見ていなかったと言う。「キャッチャーである以上は最後まで堂々としなければいけなかった。ホームベースを見ていないといけないのに、感情を出てしまって見られなかった。甲斐さんは堂々として、隙を見せずにやっている。やるべきことを最後までやらないといけないと感じました」。数日後に映像を見返して、ハッとした。

 来季はDeNAから嶺井博希捕手も加入し、捕手の競争は今年以上に激しくなる。「拓さん、嶺井さんに勝っていかないといけない。そこに食らいついて春からアピールして行きたい。今年は1軍にいさせてもらったので、来年も1軍にいられるような選手であること、スタメンで出る試合が11試合と少なかったので、それ以上の試合数出られるように、というのが目標」。痛恨の被弾で実感した“未熟さ”を糧に、捕手としてさらに成長してみせる。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)