「先発をやってみたい気持ちも」来季も“勝ちパ”で 松本裕樹が語った胸の内

ソフトバンク・松本裕樹【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・松本裕樹【写真:荒川祐史】

首脳陣の方針を受け止め「采配は監督だったり、コーチが決めること」

 ソフトバンクが誇る鉄壁のリリーフ陣。屈強な勝利の方程式の一角を今季担ったのが松本裕樹投手だ。当初は先発候補の1人だったが、アクシデントで出遅れ、4月20日にリリーフとして昇格。当初はロングリリーフが主な役目だったが、好投を続け、シーズン後半にかけて勝ちパターンの1人として7回を任されるようになった。

 今季は44試合に投げて5勝1敗15ホールド、防御率2.66をマーク。藤井皓哉投手、リバン・モイネロ投手との方程式は、最後まで優勝争いを演じる確かな原動力となっていた。クライマックスシリーズでは自己最速を更新する156キロもマーク。シーズンを通じて進化を遂げていった1人だ。

 今季、当初は先発候補の1人としてオープン戦を戦っていた。だが、開幕直前に腰の治療中に鍼が折れるアクシデントがあって出遅れることに。森唯斗投手の不調や又吉克樹投手の離脱もあって勝ちパターンに組み込まれると、安定した投球を披露し、不可欠な存在となった。特にシーズン終盤の安定感には目を見張るものがあり、藤本博史監督は右腕を来季も勝ちパターンとして起用したい意向を示している。

 松本自身は「この良かった感じで先発をやってみたいという気持ちもあった」と胸中を明かす。来季こそ先発に再挑戦したい思いもあったが、起用法を決めるのは首脳陣。「そういったところの采配は監督だったり、コーチが決めることだと思うので、そこで投げるだけかなと思います」と受け止め、来季に視線を向けている。

 2014年のドラフト1位右腕にとって、今季が8年目。44試合はキャリア最多の登板数で5勝も最多と、ようやくそのポテンシャルが花開きつつある。松本自身も「中盤から後半にかけて、自分の納得いくような投球ができてきた。自分が投げたいように投げれるようになった結果、ちゃんと腕が振れてスピードが出る、というふうに思っている」と手応えを得ている。

 来季に向けて「それを最初から出せるように、それを継続して出せるようにというところですね。まずは今年の良かった形を自分の中でしっかり落とし込んで、理解して来年に向けてやっていくというところが一番かなと思います」と語る松本。藤井が先発転向する来季、松本が任されるのは果たして何回になるだろうか。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)