小久保2軍監督が「非常に面白い」 128人中128番目指名の新人が示す無限の可能性

ソフトバンク育成ドラフト14巡目ルーキーの仲田慶介【写真:藤浦一都】
ソフトバンク育成ドラフト14巡目ルーキーの仲田慶介【写真:藤浦一都】

3日の2軍オリックス戦で3安打、4日の同戦でも2安打と結果を残した仲田慶介

 新型コロナウイルスの陽性者、そして怪我人の続出で苦しい状況に陥っているソフトバンク。離脱者が相次ぐ緊急事態で苦しいのは、なにも1軍に限ったことではなく、2軍も同様だ。1軍に選手を送り出したことで選手の数も限られ、なんとか試合を行うのがやっとの状態が続いている。

 チームにとっては苦境だが、それをチャンスに変えている男もいる。育成ドラフト14巡目ルーキーの仲田慶介外野手もその1人だ。昨秋のドラフト会議で指名された128人のうち、最後の128番目で指名された外野手が、小久保裕紀2軍監督から「正直面白いと思います。非常に面白い存在だと思います」と高く評価されている。

 ここまで二塁で多く起用されていた同じ育成の緒方理貢内野手が新型コロナウイルスの陽性判定を受けて離脱したこともあり、本職ではない二塁で起用されている仲田。3日のウエスタン・リーグのオリックス戦で4打数3安打1打点をマークすると、翌4日の同戦でも4打数2安打1打点。2試合連続のマルチ安打と結果を残し、小久保監督からの目を引いた。

 地元・福岡の福岡大大濠高から福岡大へ進学した仲田。一般入学組でただ1人、レギュラーの座を掴んだ“努力の男”で、大学4年時にはリードオフマンとしてチームを牽引し、全日本大学選手権でチーム初の4強進出に貢献した。昨秋ドラフトでソフトバンクは史上最多となる14人の育成選手を指名。その最後、128番目に名前を呼ばれたのがこの仲田だった。

 プロに入れば指名順位は関係ない、とは言うものの、支配下選手と仲田のような育成選手には大きな差が存在する。育成選手は基本、出場するのは3軍戦。今はチーム内に離脱者が続出し、チーム編成も困難となっていることもあって、多く育成選手が2軍戦に出場できている。このチャンスで結果を残し、小久保2軍監督も「狙っていたボールを1球で前に飛ばせる技術力がある。他のやつらは飛ばせていないのは技術がないんですよ。彼はその技術がある」と評価している。

 プロ1年目、しかも2軍の舞台で貴重な経験を積んでいる仲田。「1軍経験もあるピッチャーのところで追い込まれたところでの対応がまだできてない。そこはまだまだ反省の方が多いです。1球でミートするっていうのは練習からやっていて、試合でも今実践できてるんでいいところではあるんですけども、本来は追い込まれてからが持ち味のバッター。そこでなかなか自分の持ち味が出せていない」と自身の課題も痛感している。

 本職は強肩を武器とする外野手ながら、二塁手として無難に内野守備をこなす器用さも持ち合わせる。そのユーティリティさに小久保2軍監督も「外野を守らせたら肩も強いんですけど、そこにやっぱりセカンドも守れますよ、もうちょっと頑張ってサードもいけますよとなったら、周東みたいな感じの幅広く使えるプレーヤーになる。もっと言えば、牧原(大)みたいな感じ」と将来を思い描く。

「非常に今時の子には珍しい泥臭さもあって、ガツガツしていますので。どっちかというと動き過ぎを止めなアカンぐらいのタイプの子なんですね。本職は外野なんですけど、非常に面白い存在だと思います。できるだけ長く2軍で引っ張ります」とも小久保2軍監督は語る。ルーキーイヤーから魅力を感じさせいる“128番目の男”仲田。大きく花開く姿を楽しみに待ちたい。

(鷹フル編集部)