“超異例”の移動ゲームで先発登板 鷹・藤本監督が5回途中降板の杉山に感謝した理由

ソフトバンク・杉山一樹【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・杉山一樹【写真:藤浦一都】

「選手全員、腰が重いとか体が重いとかそういうの言っていた。その中で投げてくれた」

■ソフトバンク 7ー3 楽天(5日・PayPayドーム)

 ソフトバンクは5日、本拠地PayPayドームで楽天と戦い、7-3で勝利した。アルフレド・デスパイネ外野手が初回に先制の適時二塁打、5回にはリードを広げる2ランを放つなどサイクル安打に王手をかける3安打3打点と活躍。先発の杉山一樹投手は5回途中1失点で降板したものの、そこから懸命のリレーで繋いでリードを守り抜いた。連敗を2で止め、楽天を抜いて2位に返り咲いた。

 初回にデスパイネが適時二塁打、松田が適時内野安打を放って2点を先制。このリードを先発の杉山が懸命に守った。初回3本の安打を浴びながらも、相手の走塁ミスもあって無失点に切り抜けると、2回以降もピンチを背負う苦しいピッチングに。それでも4回まで島内のソロの1失点のみ。5回1死一、二塁で降板となったものの、粘りの投球だった。

 結果だけを見れば5回途中1失点降板と先発としての役割は果たしきれていないように見える。ただ、この日、藤本博史監督は「杉山には感謝ですよね」と、必死に力投した杉山を称え、労っていた。

 それには理由がある。本来、この日の先発はエースの千賀の予定だった。だが、4日に新型コロナウイルスの陽性判定を受けたため、急遽、先発ローテが再編。代役として指名されたのが、1軍に帯同して調整していた杉山だった。

 通常、翌日が移動ゲームの場合、先発投手は前日のうちに移動し、十分な休息をとり、コンディションを整えて試合に臨む。だが、千賀の先発回避を受けて先発になった杉山は前日のうちに福岡に戻ることができなかった。そのため、先発投手としては“超異例”の移動ゲームで先発マウンドに上がることなったのだ。

「千賀がこういう形になって、今日、札幌から移動して投げるっていう本当にしんどい先発だったと思うんですけど、何とか要所要所、凌いで投げてくれたかなと思います。先発ピッチャーが札幌から移動してきて試合に投げるってなかなかない。若いからできるんであって、普通のピッチャーだとおそらく体がね。選手全員に聞いても、腰が重いとか体が重いとかそういうの言っていた。その中で杉山は今日投げてくれているわけです」

 異例の移動ゲーム先発で苦しみながらも5回途中までリードを守り抜いた杉山。この日は打線の援護もあって勝利を掴んだ試合だったが、この過酷な環境の中で必死にボールを投げた杉山の力投を忘れてはいけない。

(鷹フル編集部)