大津亮介にとっての“特別な1勝”…「あ、勝ったんだな」 去った右腕と演じたい「男の勝負」

大津が明かした“右腕”とのやりとり

 2026年シーズン、鷹フルでは選手の思いや内面に迫る連載「鷹フルnote」をお届けします。今回は、先発転向3年目のシーズンをかつてない覚悟で迎えた大津亮介投手の胸中に迫ります。日本シリーズでの快投がもたらした「突き抜けるような高揚感」と、新天地に旅立った先輩右腕から託された言葉。“男の勝負”を誓う背番号19が、揺るぎない決意をありのままに語ります。

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 様々な感情から、ようやく解放された瞬間だった。昨季の日本シリーズ。大舞台で好投を演じた大津亮介投手の胸中には緊張や重圧ではなく、突き抜けるような高揚感が存在したという。

「1年目はCSで僕が負けてシーズンを終わらせてしまって、2年目は日本シリーズだけローテから外れたので。去年の日本シリーズでの登板が早まったと聞いた時、すごく嬉しかったんです。緊張はなくて、自信がありました。『すげー最高だ!』と思って投げました」

 そう振り返る瞳には確かな自信がみなぎる。日本シリーズの第4戦、日本一を手繰り寄せる力投を見せた大津。オフの間、ふとした瞬間に「あ、自分が勝ったんだ」と、その事実を噛み締めることもあったという。

 シーズン中とは明らかに違う、濃密で価値のある「1勝」。その経験が野球人生の大きな糧になろうとしている。大津が語った今季への思いとは――。そして“ある投手”からかけられた言葉が、決意をさらに強くした。

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続きの内容は

先輩右腕から受け取った「バトン」。その言葉の全容は
大黒柱の穴を埋める覚悟。大津が語る「1人で埋める」の胸中
大津が誓った“男の勝負”…「相当な覚悟で臨まないと勝てない」

託されたバトン…「大津さんが」

 乾いた捕球音が響くキャンプ地のブルペン。その中で、右腕の表情は一段と引き締まっていた。今季、先発陣には大きな“穴”が開いている。大黒柱であった有原航平投手が日本ハムへ移籍。その枠を争うアピールが日々続いている。

「結局決めるのは監督やコーチなので。有原さんの穴を埋める1人になれたらいいなと思っています」。そう語る大津の口調に気負いはない。しかし、その裏側には有原から託された言葉が深く刻まれている。

 有原と大津には固い信頼関係があった。有原は親しみを込めて「大津さん」と呼ぶ。「有原さんからは『大津さんがやらないとダメだよ』と言われました。この前も、僕が足を怪我したというニュースが出た時に、すぐLINEをくれたんです。『心配だよ。大丈夫なのか?』って。日本ハムに行っても、見てくれているんだなと思うと本当に嬉しくて」。少しだけ照れくさそうに話す大津だが、どこか誇らしげな表情を見せた。

 かつての盟友と、今度は敵として対峙する。ローテーションの巡り合わせ次第では、有原との投げ合いも現実味を帯びてくるだろう。その可能性を問うと、大津は少し間を置き、言葉を選んだ。

「有原さんと投げ合うとなると、相当な覚悟で臨まないと多分勝てないので。そこは今までの関係どうこうなしに、『男の勝負』だと思っています」

 インタビューの最後に、大津は再び日本シリーズの感情を思い返した。「あの1勝は“すごくチームに貢献できたな”と思えたんです。また今年もそこを目指して頑張ります」。1年前の悔しさを、歓喜へと塗り替えた男。あの喜びを再び手にするために――。大津亮介の存在が3連覇への大きなカギとなる。

(飯田航平 / Kohei Iida)