“正捕手白紙”、栗原陵矢の再挑戦…海野隆司が明かす思い 受け取った首脳陣のメッセージ

海野隆司【写真:竹村岳】
海野隆司【写真:竹村岳】

小久保裕紀監督は捕手起用に「誰にでも可能性はある」

 日を追うごとに熱を帯びる正捕手争いに投入された“劇薬”――。首脳陣の意図を「筆頭候補」としてどのように受け止めているのか。春季キャンプ第4クール3日を迎えた16日、栗原陵矢内野手が捕手として練習に参加した。一連の動きに対する思いを語ったのは、昨季キャリアハイとなる成績を残した海野隆司捕手だ。

 栗原に捕手への再挑戦を打診したのは、小久保裕紀監督だった。「“壊す”という一環でもありますけどね」と理由を説明。2年連続の日本一を掴むため、現状維持は絶対に許さない。選手たちに新たな刺激を与えることも目的の1つだった。背番号24には左膝と肩、腰に手術歴がある。コンディション最優先となるのは確かだが、海野らにも「強力なライバルを与える」とキッパリ伝えた。

 小久保監督はキャンプインの直前、捕手起用について「誰にでもレギュラーの可能性がある」と語っていた。海野は昨シーズン、キャリアハイとなる105試合に出場。飛躍のきっかけを掴んだ1年間だったことは間違いない。首脳陣が打ち出している“白紙”という現状に、何を思うのか――。足元を見つめ、静かに口を開いた。

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続きの内容は

栗原陵矢の捕手再挑戦…海野隆司が語ったこと
確固たる正捕手になるために必要な“条件”
昨年の成績を踏まえて…今キャンプで掲げるテーマ

「自分自身がレギュラーと思ったことは1回もない」

「自分自身がレギュラーだと思ったことは1回もないです。ただ多く試合に出ただけ。自分の実力だとも思っていないですし、もっと信頼されるようにやっていかないといけない。それはずっと考えているところなので、今年も同じようにやっていきたいです」

 1月の自主トレでは今宮健太内野手、庄子雄大内野手とともに、北九州で鍛錬を積んだ。今キャンプのテーマは「怪我をしないことが一番ですね」と言う。2025年は誰よりもマスクを被ったことで、多くの経験を積んだ。開幕を目指して調整する今、過去に比べても方向性が明確になっていることは確かだ。「いろんな経験をさせてもらったことは、間違いなく生きています」。投手とコミュニケーションを取りながら、自分自身に集中する日々が続いている。

 指揮官は海野について「ブロッキングとスローイングは合格」と守備面を高く評価している。確固たる存在になるために必要なことは――。海野は言葉を選びながら、自身が持つ“答え”を明かした。

「いろいろとありますけど、キャッチャーは試合に出ないとわからないことだらけです。去年も1年間試合に出てわかった部分があったので」

自信を掴んだ一方で…不変の危機感「競争しないと」

 日本一に輝いた2025年シーズン。チームは4月を終えた時点で9勝15敗2分の単独最下位に沈むなど、過去にないほど苦しい船出となった。「最初はデータばかりを頭に入れて、バッターの反応を見る余裕もなかった」と語っていた海野。投手陣からは容赦ない本音をぶつけられたこともあった。勇気を持ってサインを出す。腹を括れるようになったのは、誰よりも失敗を重ねてきたからだ。成長のヒントは、公式戦にしか存在しない。何度も悔しさを乗り越えてきた反骨精神が、背番号62にしかない最大の武器となる。

 今季がプロ7年目のシーズン。自らを突き動かす危機感は「変わらないですね。いい選手が多いので、競争していかないといけないです」と言い聞かせる。栗原の再挑戦についても「特に……。『キャッチャーだな』って感じです」と多くを語らなかった。自分自身の存在価値を証明する。正捕手の座は、絶対に譲らない。

(竹村岳 / Gaku Takemura)