大阪桐蔭から誘いも…選んだ茨の道 身長168センチの育成2位江崎を強くした“父との練習”

育成2位の江崎歩【写真:竹村岳】
育成2位の江崎歩【写真:竹村岳】

新人連載に江崎が登場…厳格な父との練習が原点

 2025年ドラフトでホークスは支配下選手5人、育成選手8人を指名しました。鷹フルではチームの未来を担うルーキーズを紹介します。今回は、福井工大福井高から育成ドラフト2位で入団した江崎歩内野手。身長168センチと小柄ながら、「小さいからこそできることもある」と強みを口にする18歳。大阪桐蔭高など全国屈指の名門からの誘いを蹴って進んだ道がありました。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 身長168センチ、体重67キロ――。プロ野球選手に混じると、その体は逆に目立って見える。それでも、新人合同自主トレではメーンポジションである遊撃に入り、軽快な守備を披露した。「 守備は誰にも負けたくないと思っているので、そこには強いこだわりを持っています」。躍動感あふれるグラブ捌きでアピールした。

 7学年上の兄の影響で小学3年生からソフトボールに触れ、中学からボーイズリーグで硬式野球を始めた。練習相手をしてくれていたのは野球未経験の父親だった。「お父さん自身も勉強してくれて、いろんなことを教えてくれました」――。

会員になると続きをご覧いただけます

続きの内容は

厳格な父に褒められずとも、江崎を支えた「前向きな思考」の正体
大阪桐蔭を断り福井を選んだ、監督の「熱意あふれる一言」
打撃に自信なし、それでも「首位打者」を掲げた逆転の真

 チームの練習が終わった後も、マンツーマンでティー打撃にノックと親子の練習が続いた。父は厳格だった。「本当にずっと厳しくて、怒られてばかりでした。褒められたことは一度もありません」。それでも、一度も野球を辞めたいと思ったことはなかった。「失敗したり、打てなかった時も、とにかく『それだけ練習する』と考えていたので。前向きにやれていたのかなと思います」。メキメキと実力を伸ばし、西尾ボーイズで全国大会に出場した。

大阪桐蔭、東海大相模、智弁和歌山…全国の名門から誘い

 中学3年時には全国からスカウトが江崎を見に来た。「結構な数のところから声をかけていただきました」。その中には大阪桐蔭や東海大相模、智弁和歌山といった全国屈指の名門高校の名前もあった。そんな中で選んだのは、福井工大福井だった。

 監督の白水健太氏は大阪桐蔭高で藤浪晋太郎投手(DeNA)らと同世代だった。何度も足を運び、その度に「一緒に敦賀気比を倒して甲子園に行こう」と熱い気持ちを届けたという。その熱意が徐々に江崎の心を動かした。

「自分自身がトップチームというか、地域で一番強いと言われているチームを倒したかったので。1年生から試合に出たいという気持ちもありました。技術面もそうですけど、人間性という部分で自分を成長させてくれると思ったことが一番大きいかなと思います」

 数多の強豪校からの誘いを断り、選んだ福井の地。両親は「(自分が)いいと思うならいい」と背中を押してくれた。高校2年秋からは主将に就任。3年間で敦賀気比の牙城は崩せず、甲子園の地は踏めなかったが、育成2位で念願だったプロのユニホームに袖を通した。

 目標には「首位打者」を掲げたが、決して打撃に自信があるわけではない。「守備と走塁には自信がある。逆に、自信がないバッティングで(タイトルを)獲りたいなという思いがあるから」。自らを常に厳しい環境に置いてきた。身長やドラフトの順位は関係ない――。背番号「144」から、這い上がることを誓った。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)