高橋は契約金4000万円、年俸1000万円で合意
2年前の気持ちに戻ることはもうない。ドラフト5位指名を受けたJR東日本の高橋隆慶内野手が14日、都内のホテルで仮契約を終えた。契約金4000万円、年俸1000万円(金額はいずれも推定)で合意。「指名された時より一層しっかりやっていかないといけないという気持ちが強くなりました」と気を引き締めた。
社会人2年目の今季は都市対抗の2試合に4番として出場し、10打数5安打1打点をマークした。強打の内野手として、即戦力での活躍が期待されている。その一方で、中大4年時にはプロ志望届を提出したものの、指名漏れを経験した。
悔しい思いは今でも忘れていない。ただ、当時の気持ちを思い返すことはもうない。「あの時にプロに行っていたら、埋もれていたと思う」と振り返る。「今、指名してもらったことは自分としてもよかった」。そう思えるようになった理由とは――。
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続きの内容は
指名漏れから2年。高橋を奮い立たせた筑後の衝撃とは?
スカウトチーフが明かした社会人指名に踏み切った「真の理由」
社会人2年間で彼が得た「野球の深み」と成長の秘訣。
きっかけはドラフト会議後、ファーム施設「HAWKSベースボールパーク筑後」を訪れた時だった。「年下の選手が多かったのですが、2年前の自分と比べると、何においても優れた選手が多くいたので」。1軍の主力級の選手はいなかったにもかかわらず、レベルの高さを痛感したという。
中大入学時、4年生には牧秀悟内野手(DeNA)や五十幡亮汰外野手(日本ハム)が在籍しており、その後、高橋の代まで毎年プロ野球選手を輩出していた。高いレベルに身を置く中で、自身もプロ入りを本気で目指すようになった。ただ、「自分が『本気でプロになる』と思うのが遅かった」と、4年時のドラフト会議で名前が呼ばれることはなかった。
それでも、プロへの思いが消えたわけではなかった。JR東日本に入社後は、メンタル面や野球への取り組み方を見直した。「この2年間で様々な人と関わり、色々な環境でやれたことで、野球の深みというか、もっとこうした方がいいだろうなっていうのはすごく考えるようになりました。そうなれたことが結果的にいい方向に行って、技術的にも向上したと思います」。
該当選手なし(paywallの処理をしました)
大学時代から調査も…スカウトが明かす社会人指名の理由
自信を持って臨んだ今年のドラフト会議。「(社会人のドラフト)解禁年の成績もそうですし、『プロでやれる』という思いは今年の方が全然強かった」。その言葉通り、ホークスから5位で指名され、見事プロの世界に足を踏み入れた。
ホークスも大学時代から高橋を調査していた。福山龍太郎アマスカウトチーフは、社会人を経て指名に至った理由として「野球以外の人間としての経験、育ってきた過程」を挙げる。「人生的な経験で、自分が何をしなきゃいけないかとか、そういったことが社会人になってクリアになった。お金の管理だとか、社会性だとか、そういうのも踏まえて人間的に大きくなったことにも、彼の成長があると思う」と評価した。
三塁には中心選手の栗原陵矢内野手がいるが、球団は即戦力として高い期待を寄せている。それに対し、本人は「1年目の目標は選手層が厚い中でも1軍に帯同することです」と冷静に足元を見つめる。悔しさをバネに過ごした2年間は、決して遠回りではない。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)