「対1軍ですよ」斉藤和巳監督の総括 2軍選手に「期待している」…あえて伝えなかった言葉

来季から2軍を率いる斉藤和巳3軍監督【写真:竹村岳】
来季から2軍を率いる斉藤和巳3軍監督【写真:竹村岳】

徹底した独自取材、データ分析
選手の本音や核心に迫る「鷹フル」

秋季練習を終え、斉藤監督が総括

 ソフトバンクは14日、タマスタ筑後で行われていた「筑後秋季練習2025」を打ち上げた。来季から2軍監督に就任する斉藤和巳3軍監督が取材に対応し、この期間で目立った選手やチームに起きた変化を総括した。2軍を率いるにあたり、指揮官としての考えとは――。コメントの全文は以下の通り。

――秋季練習を終えて。
「コーディネーターやコーチを中心に、野手に関しては『打撃の日』『守備の日』という感じで、そこに集中して取り組めるようなメニューを組んでもらったので。量もそれなりにできている感じはしました。あとは投手と野手が共に筑後で秋季キャンプを行うのは初めてで、ここの施設が整ってるというところもあるので。設備を十分使いながら、短い期間ではありましたけどできたんじゃないかなと思います」

――練習の中で目立った選手や変化は?
「みんなそれぞれ頑張っていましたし、育成の子も支配下の選手に混じって、色々刺激を受けながら取り組んでいたので、全体的に良かったと思います」

――野手陣は、最終日のラストに400メートル走を行った。
「ピッチャーは走ることも1つの仕事なので、見慣れた光景ではありましたけど。野手に関しては、ああいう距離を走ることはなかなかないので。どういう姿で走るのか楽しみにしてたんですけど、思ってる以上にみんなしっかり走っていたので、それはびっくりしました」

――この秋季練習はどのような位置付け?
「昔の秋季キャンプとまた意味合いは変わってきている感じがするので。他の球団は分からないですけど、うちの球団は自主性というところをこちら側もあおっていきながらというところなので。この秋季練習は出し切るのはもちろんそうですけど、オフに向けての課題を明確に。今の時期しかこれだけのスタッフが手伝ってくれる環境は整わないので。オフシーズンに向けて各々の足らないところ、練習の工夫であったり、色々なアイディアを出してもらいながら。彼らがこの先、2月のキャンプまでの時間でどれだけできるかというところでしょうね」

――来季から2軍監督に就任する。選手の見方が変わってくる?
「昨年の秋季練習や数か月前に比べれば、支配下選手に目がいくようにはなりました。(2軍では)そういった選手と一緒にやることが多いと思うので。ただどういうメンバーでやるのかはまだ分からないですけども。育成選手に関しては1、2年一緒にやっているメンバーがいるので、どういう性格の選手か分かっている。支配下の選手に対しての方が目はいきましたし、よりコミュニケーションを取ったような気はしています」

――来春のキャンプまでに選手たちに期待することは?
「この秋と変わった姿で会いたいですし、春季キャンプをやっていく上で色々な良い意味での変化をこちらが感じることができれば。それだけでもこのオフシーズンどう過ごしていたのかを感じ取れると思いますし、よりそういう選手は期待ができるので。みんながそういう意識で、そういう姿で2月のキャンプに入ってもらいたいなと思います」

期待するスタメン争い「対1軍ですよ」

――先ほど「大きく変わった姿」の話があったが、意識が変わった選手は多いように見えた?
「もちろん、このキャンプの期間だけでもその姿が見える選手もいました。ただ、それはこれだけの環境であったり、これだけの人が周りにいてくれることでできたことかもしれないので。明日以降はそういう状況ではないので、1人1人の自覚と覚悟がないと。1人で追い込むことは非常に難しいことでもあり、覚悟のいることでもあるので。この2か月半くらいですかね、彼らがどういう時間を過ごすのかは、彼らが思い描いてるプロ野球人生というところでは大事な時間だと思います」

――この秋季練習が始まる前に、選手に何か特別なことを伝えた?
「それも正直考えましたけど、何も伝えずに、彼らがどういう取り組みをするのか。このオフをどのような形で過ごすのかというのは、きょうも正直何か伝えようかとずっと迷ってましたけど。彼らに賭けるというか、期待してる分、こちらがあえて言う必要もないのかなという方向になった」

――選手が「変わった」と感じるのは、具体的にどういった部分?
「取り組み方はもちろん毎日見ていたら分かりますし、気が付くので」

――今年は若い選手に多くのチャンスがあった。3軍監督として見ていて、意識の高い選手が上がっていくと感じた?
「個人的にはこれだけ主力に怪我人が出た中で、思いのほか若い選手が(1軍に)いけなかったなという感触は持ってるので。チャンスはいっぱいあったと思いますし、来年はどうなるか分かりませんが、どれだけ割って入っていけるのかというところだと思います」

――2軍監督になることで、どのような変化がある?
「何かしらの変化は多分あると思います。ただ個人的なところでは彼らへの接し方というところの根本的な部分は変わることはないです。ただ3軍と2軍の違いというのはありますし、そういったところでの変化というのは何かしらあるんだろうなという感じはしているので。ただそれを全て明確にすることは難しいですし、自分も時間を過ごしながら、状況を見ながら、周りの人とも相談しながら。どう進めていくのが一番いいのかというのはその都度かなと思っています」

――1軍で活躍する選手を育てるという思いが強い?
「もちろん。主力、レギュラーになってもらいたいというのがあるので。ただ戦力になるとか、活躍してほしいだけでは済んでほしくない。一時の活躍というのは誰しも可能性はあるので。それだけではこの世界生きていけない。今の1軍選手からポジションを奪う、何かしらチャンスがあればそこに入り込むぐらいの気持ちでこっちはやろうと思ってます。対1軍ですよ」

(森大樹 / Daiki Mori)