東浜巨と藤井皓哉の“共鳴”した思い 劣勢でも示した不屈の覚悟…最終決戦へ「やるだけ」

藤井皓哉(左)と東浜巨【写真:加治屋友輝】
藤井皓哉(左)と東浜巨【写真:加治屋友輝】

7点ビハインドに16日ぶり登板も…東浜が見せた気概

 試合の大勢は決しても、やられっぱなしで終われるわけがなかった。19日に行われた日本ハムとのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第5戦(みずほPayPayドーム)。0-7で迎えた8回のマウンドに上がった東浜巨投手が伝えたかったのは「不屈の闘志」だった。

「久しぶりの登板だったし、緊張もしましたけど。抑えるだけなので」。レギュラーシーズン最後の登板となった10月3日のオリックス戦から16日ぶりのマウンドにもかかわらず、右腕は淡々とアウトを重ねた。ノーワインドアップからのクイック投法を織り交ぜ、相手のタイミングを巧みにずらす投球術も披露。危なげない内容で相手打線を3人で退けた。

「やることをやるだけですし、自分たちはもちろん諦めずにやっています。(CSファイナルは)明日(20日)の試合を残すのみなので、全員で勝ちにいきたいと思います」。試合後、右腕は力強く語った。さらに続けたのは、これ以上ない“覚悟”だった。「もちろん、どこでも……」。奇しくも同じ思いを口にしたのは、CSファイナル第1戦から登板機会のない藤井皓哉投手だった。

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続きの内容は

・東浜が明かす、チームへの献身とは
・藤井が胸に秘める、本音と覚悟
・最終決戦へ、鷹戦士の思いを代弁

 20日のCSファイナル第6戦に登板する可能性を問われた東浜は、間髪入れずに答えた。「もちろんです。どこでも、何イニングでも、投げられるだけ投げます」。2017年には最多勝に輝き、今も先発に強いプライドを持つ右腕は、チームのためにどんな役回りもこなす決意をにじませた。

 プロ13年目を迎えた今季は1軍で7試合に先発して4勝2敗、防御率2.51の成績をマーク。2軍でも防御率1.85と安定した投球を続けながら、なかなか1軍での登板に恵まれなかった。様々な思いが交錯した1年であったことは間違いない。それでも、入団以降に6度のリーグ優勝、5度の日本一に輝いたホークスで腕を振り続けてきた35歳は、チームの勝利を何よりも願っている。

第1戦から登板なし…藤井が明かした“本音”

 東浜と思いを“共鳴”させたのは、CSファイナル第1戦で登板してから出番のない藤井だった。「もちろんチームが負けているので悔しい気持ちはありますけど、僕らはやるしかないですし。僕は言われたところで投げるしかないので……」。強力リリーフ陣の柱として1年間を戦ってきた男は、続けて熱い思いを口にした。

「もし負けていた状況だったとしても、僕としてはどこでも行くので。それはもう、何点差あろうが関係ない。それが僕が1年間やってきたことだし、そういう意味ではCSだろうが何だろうが変わらないし、変えるつもりもないので。0に抑えることが一番の仕事ですし、そのために準備もしています。もちろん勝っている状況であれば一番いいですけど、どんな展開でも僕ができるのは0に抑えるっていう仕事だけなので」

 大差のビハインドでも、ファイティングポーズを貫いた東浜。そして、登板がない中でも闘争心を燃やし続けてきた藤井。2人が口にした言葉は、チーム全体の思いを代弁する。

「負けても明日がある状況で、ここまで来たので。そこは割り切って。明日に気持ちは向かっていますし、今からできることをやって、明日の朝も準備して。それはシーズンを通してやってきたことなので。変えずにやっていければいいかなと思います」。藤井はそう口にして、胸を張って帰路に就いた。歓喜をつかみ取るため、全員が戦い抜くだけだ。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)