ホークスを支える裏方さん23人に「記憶に残った名場面」を聞いてみました。全3回の第2回はハイパフォーマンスS&C部門、データサイエンスから7人が登場します。アナリストならではの視点が盛り沢山。守護神に定着した杉山一樹投手の姿に思い出されたのは、2軍での“下積み時代”でした。絶対に妥協しない藤井皓哉投手の姿、柳町達外野手からあふれ出した気持ちなど、名場面の裏側に迫りました。
【ハイパフォーマンスS&C部門】
・金村幸治1軍チーフストレングス&コンディショニング
「(柳町)達の活躍はすごく印象に残っていますね。交流戦でも首位打者、MVPを獲得して、より自信を持って打席に向かっているのが印象的です。彼がチームを引っ張ってくれたのかなと思います」
・岡本正靖1軍ストレングス&コンディショニング
「やっぱり5月2日の(川瀬)晃ですかね。あそこで流れが変わったと思います。それまでもチームの雰囲気は、明るいのは明るかったですけどね。耐えて耐えて、すごいサヨナラ打でした。あとは杉山がセーブを重ねていくのはすごいなと思いながら見ていました。ティト(リバン・モイネロ)もすごかったけど、杉山は開幕した当初はいろんなところで投げていたじゃないですか。それが序列が上がってクローザーになった。彼がやってきた成果だと思いますね」
【データサイエンス】
・吾郷伸之チーフアナリスト
「リリーフ陣の成長ですね。役割が明確になったこともあって、どんどん姿を変えていった。後ろで投げる3人(藤井、松本裕樹、杉山)は、勝ちパターンという役割に対して非常にモチベーションを高く持ってやってくれましたし。若い子の台頭もあった中で、そういった投手に負けないように、ポジションを譲らないという強い気持ちでやっていることは伝わってきました」
・清水貴之1軍アナリスト
「モイネロ投手と伊藤投手の投げ合いですね。どの試合が、というよりも多くの試合が印象に残りました」
・佐藤麻弥1軍アナリスト
「総合力、選手層だと思います。自分はアナリストとして攻撃面に関わることが多いのですが、主力の離脱が続いた春先は若い選手が狙いにいった球に対応できないこともあった。エース級をぶつけられることも多かったです。若手の経験が浅いからといって“頭でっかち”にならず、背中を押せるようなデータを提供できるように心がけていました。だからこそ、入れ替わりで出場した選手や、ベンチスタートから貢献してくれた選手がよく頑張ってくれたのかなと思います」
・松葉真平1軍アナリスト
「杉山が(抑えに)定着したことです。僕が2軍でR&Dだった時から苦しんでいるのを見ていました。『力が思うように入らない』ということで、メカニックだけではなく、感覚を取り戻すためにメンタル面の話をしたこともあります。そんな杉山が、自分ではなくて相手のバッターに対して投げている。それもチームを背負って腕を振っているんですから、僕は嬉しかったですね。個人的な嬉しさと、アナリストとして感じる頼もしさ、その両面を感じていました。リーグ優勝した時も最後はマウンドにいましたけど、応援される人があそこにいるんだと思います。周りから認められる存在になったんだなと、心から思えました」
・古川侑利1軍アナリスト
「個人的には藤井(皓哉)の存在を挙げたいです。年も1つ下でよくコミュニケーションを取るんですけど、5月くらいまでは彼も試行錯誤していました。試合後に資料室まで来て、球質について『どう思います?』『ここが気になるんですよね』と聞いてくる。もう少しフォークの落差を出したかったり、ストレートに強さを求めた時期はありましたね。日本ハム戦では清宮選手、万波選手に打たれましたけど、投げているボールの質は本当によかった。それでも『仕方ない』で済まさないから、今年あれだけの成績を残せたんだと思います。自分も裏方1年目ですけど、選手が打たれたら悔しいし、結果を出してくれるのは嬉しかったです」