熾烈な争いを制し、リーグ連覇を果たしたホークス。鷹フルでは選手はもちろん、チームを支えるスタッフにも焦点を当てて今シーズンを振り返っていきます。1軍に帯同する“裏方さん”総勢23人に聞いたのは「記憶に残った名場面」。全3回にわたってお届けします。第1回はブルペン捕手、用具担当、ハイパフォーマンス・メディカル部門の計8人が登場します。小久保裕紀監督から任命されていたまさかの“貼る係”、杉山一樹投手の姿に思わず「うーわ、カッコいい」――。縁の下の力持ちを担う役職ならではの視点で、ホークス連覇の裏側を深掘りしました。
【ブルペン捕手】
・瓜野純嗣さん
「5月2日のロッテ戦。満塁での川瀬(晃)。代打の川瀬ですかね。もう代打で出てきたら楽しみになります。あと、もう1つ挙げるなら日本ハム戦の杉山ですかね。9月18日の直接対決で、最後にレイエスを空振り三振に斬ったじゃないですか。『うーわ、カッコいい』って思いましたね。この子らのために頑張らないといけないと思いましたし、胸が熱くなりました。感動しました」
・張本優大さん
「7月1日の日本ハム戦、東京ドームでの有原(航平)投手の投球です。日本ハムとの一戦で完封する姿を見て、エースとして感じるものがありました」
【用具担当】
・村上誠一1軍担当
「9月18日の日本ハム戦、8回に栗原(陵矢)が打った同点ホームランです。時期的にも重要な直接対決で、負けたらまだまだわからない展開だった。その中で、あのホームランが空気を変えた。個人的には優勝を決定的にした一本だったと思っています」
【ハイパフォーマンス・メディカル部門】
・鈴木淳士1軍チーフアスレティックトレーナー
「今年1年で特に印象に残っているのは、(中村)晃が1500安打を達成した試合と、(今宮)健太が100本塁打と400犠打を達成した試合です。2人とも入団時から見てきただけに思い入れも強く、節目の記録を目の当たりにできたことが特に心に残っています」
・小野哲矢1軍PT
「結果が出ているから言う、というのも悔しいんですけど……(苦笑い)。僕は野村勇だと思います。キャンプの時の挨拶から違いました。僕がノックでボール渡しをしていると、『ありがとうございます!』って言ってきたんです。いつもなら言わないようなタイミングで挨拶をしてくるので、変化を感じて。その話は伴(元裕メンタルパフォーマンスコーチ)さんにもしました。大変な時期もあったと思いますけど、チャンスをもらえて活躍できて本当によかった。まだまだこんなものじゃないとも思っていますけど、応援したくなるような立ち振る舞いをしていたので。頑張ってほしいなと思いながら見守っていました」
・山西昇1軍アスレティックトレーナー
「前田悠伍の1勝目ですね。僕は去年2軍の管轄だったので、彼を入ってきた時から見ている。昨シーズンも終盤に1軍へ上がりましたけど、打たれてしまった。2年目になってファームで頑張って、自分の力で1軍登板を掴んだ。トリプルプレーも『そんなことあるんだ』って感じで見ていましたね。とても真面目で、野球に対して一生懸命取り組む子です。まあ、ちょっと猫をかぶっていますけどね(笑)」
・松永武士1軍アスレティックトレーナー
「(今宮)健太が打席を外れて、川瀬が代打で出た試合(6月14日のDeNA戦)です。準備力もそうですし、あそこをカバーできるだけの1球にかける思い。その後のコメントも含めて、僕は印象に残っています」
・庄嶋大一郎1軍アスレティックトレーナー
「4月末、小久保監督が『今いるメンバーが最強』と話したミーティングですかね。僕たちはそこに入っていたわけではないんですけど、負けが続いていた時だったので印象的でした。あと、2軍監督だった時、小久保監督に『毎日トレーナー室に(名言を印刷した)紙を貼りなさい』って言われたことがあるんです。いい言葉を毎日貼っていたんですけど、僕がその“貼る係”だったんですよ。言葉を大切にされている監督ですから、チームが苦しい時にどんな声をかけるのかなって思ったんですけど、やっぱりカッコよかったですね。『勝利の女神は細部に宿る』は、僕が一番好きな言葉です」