3連勝に貢献した“12勝カルテット”
ついにリーグ連覇へのマジックナンバーを「1」としたホークス。24日から始まった、仙台での楽天3連戦を見事にスイープした。その最大の立役者となったのは、3試合連続で7回まで力投を見せた先発陣だっただろう。
初戦はリバン・モイネロ投手が7回1失点、2戦目の大関友久投手が7回無失点、そして3戦目の上沢直之投手が7回3失点。それぞれがマウンドで奮闘を見せた。しかし、その裏でリリーフ陣は、決して盤石な状態ではなかった。
勝ちパターンの一角として、主に7回を担う藤井皓哉投手が、腰の痛みを訴え、仙台への遠征に帯同していなかった。絶対的なセットアッパーを欠く状況にもかかわらず、なぜチームは3連勝することができたのか。倉野信次1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)が明かした言葉から、投手陣に秘められた覚悟と、首脳陣の確固たる信念が見えてきた。
会員になると続きをご覧いただけます
続きの内容は
・藤井不在の窮地を救った「首脳陣の秘策」
・上沢が明かした「命懸け投球の舞台裏」
・倉野コーチが語る「投手陣への熱い言葉」
3投手の好投を評価…「より助かった」
「藤井の穴は、他のピッチャーで埋められるという判断というか、そういう期待はしていました。だけど、結果的に(先発が)7回まで行ってもらって、より助かったというのはありますよね」
藤井の不在という状況を、倉野コーチは冷静に振り返る。登録抹消こそされていないものの、計算できるリリーバーが一人欠けることは、リーグ優勝を目前に控えるチームにとって大きな痛手だ。それでも首脳陣は、特定の誰かに代役を求めるのではなく、投手陣全体の力でこの苦境を乗り越える方針だった。
その中で、必ずしも先発投手に「7回まで」という明確な目標を課していたわけではなかった。「長いイニングを計算して送り出してるわけではないです。藤井の穴を埋める布陣は、ちゃんと敷いていたので」。この言葉からは、3投手が首脳陣の期待を上回る最高の働きを見せたことがうかがえる。それは、投手一人ひとりの強い責任感の表れでもあった。
象徴的だったのが、3戦目の上沢だ。序盤に3点を失う苦しい展開だったが、3回以降は立ち直りを見せた。7回にチームが逆転すると、その裏のマウンドへ。最後の力を振り絞り、見事3者凡退に抑えた。8回の松本裕樹投手へとつなぎ、最後は杉山一樹投手が締めた。上沢が、「逆転してくれた7回は、命懸けで投げました」とコメントした通り、気迫のこもった投球だった。倉野コーチも「すごく振り絞っていたのも分かったし、気持ちはすごい伝わりました」と絶賛した。
藤井の合流予定は27日の西武戦
「選手に言っているのは、『こういう状況なんだから、誰が何回とか、長いイニングではなくて、目の前の1イニングを頑張ろう』と。それはもう中継ぎも一緒だし、先発も一緒です」
目の前にいる打者、1つのアウトに全力を注ぐ。その姿勢が、結果として7回を投げ切るという大きな成果につながった。「もうめちゃくちゃ大きいです。勝てたことが全てです」と倉野コーチは奮闘を称えた。チームを離れていた藤井は27日の西武戦から合流予定だ。シーズン最終盤で見せた3投手の力投が、リーグ連覇をぐっと手繰り寄せた。
(飯田航平 / Kohei Iida)