優勝かかる1軍ではなく…今宮健太が名古屋にいた理由 決断の裏側「悩まなかった」

3週間ぶりに実戦復帰した今宮健太【写真:長濱幸治】
3週間ぶりに実戦復帰した今宮健太【写真:長濱幸治】

左ふくらはぎ痛から3週間ぶり実戦復帰

 リーグ連覇が決まる可能性があった26日、今宮健太内野手の姿は1軍が戦っている仙台ではなく、名古屋にあった。左ふくらはぎ痛で出場選手登録を抹消されてから3週間、背番号6はウエスタン・中日戦(ナゴヤ球場)で実戦復帰を果たした。

「1番・遊撃」で先発すると、初回から軽快にゴロを処理。打っては5回に中前打を放ち、ここで代走を送られた。左ふくらはぎを痛めた9月4日のオリックス戦(みずほPayPayドーム)以来となる実戦で、好守にわたってブランクを感じさせない動きを披露。「ここまで不安なくこられたので。あとはしっかりやるだけかなと思います」。試合後はどこかホッとした表情を浮かべた。

 今季は度重なる故障に悩まされたが、その存在がチームに欠かせないものであることに異論はない。2年連続のリーグ優勝を“現地”で見届ける選択肢はあったのかと問うと、今宮は「ありましたね」と口にした。それでも2軍戦での実戦復帰を選んだ34歳。決断の背景には、チームリーダーらしい熱い思いがあった。

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続きの内容は

・今宮選手が語る、胴上げよりも優先した「真の理由」とは?
・度重なる離脱。彼が「心から笑う」ために選んだ道とは?
・小久保監督への思い。日本一への「秘めたる覚悟」に迫る!

「悩むことはなかったですね。やっぱり、1試合も無駄にできない状況ですから。そこ(仙台)に行っちゃうと、2軍の公式戦がなくなってしまう。練習試合があるといっても、結構期間が空いちゃうので。それを考えた時に、優先するのはしっかり試合に出ること。戦力として必要と判断されれば(1軍に)呼ばれると思いますし。そう思われるためにも、ゲームに出ておかないとっていうのは考えました」

2軍戦で笑顔を見せる今宮健太【写真:長濱幸治】
2軍戦で笑顔を見せる今宮健太【写真:長濱幸治】

心から笑うために…「もう何回目って話ですから」

 今宮が繰り返したのは、“目先の歓喜”よりも大切なことだった。「例えば(2軍で)ずっと試合があっている状況なら別でしょうけど。せっかく(小久保裕紀)監督を胴上げできるわけですから。もちろん行きたかったなという思いはありました」。そう明かしたうえで、「もう1度(1軍に)戻ったとしても、また(離脱する)っていうのを考えたら……。しっかりとゲームをこなさなきゃいけないという判断です」と表情を引き締めていた。

 たとえ今回の機会を逃したとしても、先にはCS、そして日本シリーズがある。自らが戦力としてチームに貢献し、澄み切った気持ちで小久保監督を胴上げするチャンスは残されている。「これが一番、自分の中で正しい選択だと思って。監督もそう読み取ってくれていると思います」。今宮らしい決断だった

「もう何回目っていう話ですから。(今シーズンの離脱は)4回目ですからね。これからもっとギアを上げていきたいですし、しっかりと戦力になれるように。日本一のピースになれるのであれば、どんな役割でもいいと思っているので。そのための準備をするだけです」

 1軍の状況に関係なく、今宮はウエスタン・リーグが終了する28日まで2軍戦に出場する予定だ。決して満足いくシーズンではなかった2025年。それでもこの先に戦いが待っているのであれば、そこに全力を尽くすのが今宮健太だ。自らのプレーでチームを頂点に導いてこそ、心から笑える瞬間は訪れる。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)