指揮官の苦言「恥ずかしい」、周東&今宮&山川が語ったこと 重要なミスを“恐れる気持ち”

周東佑京、今宮健太、山川穂高(左から)【写真:小池義弘】
周東佑京、今宮健太、山川穂高(左から)【写真:小池義弘】

ロッテにカード負け越し…小久保監督は「準備不足」

 目も当てられないミスが続いてしまった。小久保裕紀監督は厳しい口調で言い放った。「選手を集めて話をしたけど、野球には間(ま)がある。そこで何があるのかを考えないといけないし、考えられない選手に追い求めることはできない。準備不足です。この時期にこんな野球をして恥ずかしい」。試合後には緊急ミーティングを開催し、もう一度、ナインの気持ちを引き締めた。

 29日からZOZOマリンで行われたロッテとの3連戦。30日の第2戦では有原航平投手が6回に4点を失うなど、逆転負けを喫した。31日の3戦目も、序盤からミスが目立った。同点で迎えた3回の守備では嶺井博希捕手が2度の捕逸、尾形崇斗投手の暴投も絡んで勝ち越しを許した。走塁ミスも相次ぎ、相手を上回る14安打を放ちながらも3得点。指揮官も「きのうもきょうも、正直勝ちゲーム。日本ハムも負けていてまだ運があるのかなと思うけど、こんなことをしていたら運にも見放されてしまう」とキッパリと言った。

 デーゲームで日本ハムは敗れていたが、3連戦を1勝2敗と負け越し、ライバルとのゲーム差を広げることはできなかった。痛恨の連敗に、小久保監督の表情も険しくなる。苦言を選手たちはどのように受け止めたのか。周東佑京内野手、山川穂高内野手、今宮健太内野手が心境を明かした。

選手会長の周東「僕も1年目から…」

「チャンスは作れていましたけど、その中でもミスがあった。前回連敗が続いた時と同様に、しっかりと足元を見つめ直すこと。日本ハムの動向も気になりますけど、やれることをもう1回、全員がやる。緊迫して(シーズンの)終盤にきて、若い選手もなかなか経験のないことだと思うので。きょうの試合を糧としてじゃないですけど、しっかりと学んで次につなげていけたら」

 ナインの思いを代弁したのは、周東だ。選手会長として2年目のシーズン。結果と行動で、後輩たちを力強く引っ張ってきた。「僕もプロに入って1年目から全部が完璧にできたかというと、そうでもないので」と、庇うように思いを口にした。悔やんでも時間は巻き戻せない。同じ失敗をしないように、凡事徹底の重要性を説いていた。

 この日、周東は2安打3出塁。7回無死から中前打でチャンスを作ると、2度の暴投で三塁にまで辿り着いた。一瞬の隙をついた走塁に「なんとか終盤に(チャンスを作りたい)という気持ちはありましたし、9回も先頭打者だったので。マキさん(牧原大成)も調子がいいし、アグーさん(山川)も一発がある。なんとか塁に出たいと思っていました」と汗を拭う。特別なことをするのではない。終盤戦だからこそ足元を見つめ、最後まで自分たちの野球を貫くべきだ。

雰囲気を変えるための“唯一”の方法とは?

 8月を終えて、勝敗の重みはどんどん増していく。山川は「ここからの試合は、よりミスを恐れないといけない」という。チャンスを広げようとする前のめりな姿勢はもちろん必要だが、一番やってはいけないことは、流れを自ら手放すこと。西武時代も含め、優勝争いの経験が豊富なスラッガーは「結果は仕方ないんですけど、アウトになったのを見て『もうちょっと慎重にリードしようかな』とか。まずはそういうところからだと思うんです」と続けて語る。

 福岡を離れ、8月22日から3カード連続でビジターゲームを戦った。結果は2勝6敗。チームの空気も重くなってきたように見えるが、山川は首を横に振る。

「雰囲気というのは良くしようと思って良くなるものではないです。『良くしよう』と思っている時点で、もうそれは悪いということじゃないですか。火曜日から勝てば自然と雰囲気は変わると思いますし、僕たちはプロですけど、何年やってもそういうもの。だからこそやるべきことをやるしかないし、それしか方法がない。ここから先、必要なのは勝利ですけど、勝つためには技術が必要ですから」

「大事な場面だから」。そう気負って打席に入っても、自分が持つ技術以上のものは発揮できない。いつも繰り返す山川らしい言葉を、ここでもはっきりと強調した。

 小久保監督の言葉を「その通りなので、しっかりやりたいと思います」と受け止めたのは今宮だ。2回無死、右前打で出塁。先頭打者としてチャンスメークすると、続く栗原陵矢内野手の中前打で一気に三塁まで到達した。野手の間に落ちる判断が難しい打球ではあったものの、迷うことなくスタートを切っていた。「あれは打球の跳ね方を予測していました」と、準備していた通りの走塁で好機を広げた。チームリーダーたちは、今後の戦いを真っすぐに見つめる。泣いても笑っても、残り25試合だ。

(竹村岳 / Gaku Takemura)