1日の楽天戦で走塁死…小久保監督から「怖さを学んでほしい」
自らの実力を理解しているからこそ、受け止めることができた。10日からみずほPayPayドームで行われた日本ハムとの3連戦。ドラフト2位ルーキーの庄子雄大内野手は1軍に帯同こそしていたものの、一度も出番がなかった。
痺れる首位攻防戦の1週間前だった。今月1日の本拠地・楽天戦で庄子は自身2度目のスタメン出場を果たし、プロ入り後初の長打を放った。一方で直後に牽制でアウトになり、小久保裕紀監督からは「あれ(初長打)をかき消すぐらいの走塁死ですね。あれでよく、流れが変わらなかったなと。プロの厳しさ、怖さをあれで学んでほしいですね」と苦言を呈された。
指揮官の指摘はネットニュースで目にしたという。「あのワンプレーで、もしかしたら負けていたかもしれない」――。庄子が痛感したのは、プロの厳しさだった。
「状況的にもああいったミスは1番やってはいけない場面だったので。もちろん厳しい言葉をもらうのは当たり前のことですし、落ち込んだっていうのはありましたけど。より一層、気を引き締めてやらないといけないなと思いました」
2点リードで迎えた6回だった。1死からあと少しで本塁打という右翼フェンス直撃の二塁打を放った。その後、1死一、二塁とチャンスは広がったが、二塁けん制に反応が遅れた。リプレー検証でも判定は覆らず、痛恨のアウトとなった。試合は上沢が7回まで力投し、以降はヘルナンデス、杉山がしのいでチームは勝利したが、庄子にとっては反省ばかりの1日だった。
客観視した実力「総合的に見て…」
1週間後、首位攻防3連戦をベンチから眺めた。1試合1試合を全力で戦う先輩たち。その姿にいつもと違う空気を感じていた。「スタメンで出ている方全員が初回から、プレーボールの1球目から全集中してるなっていうのは思いました」。
さらに痛感したのは自らの実力不足。1つのミスで流れが変わる緊迫した展開。「前のミスもありましたし、実力というか……。総合的に見て、まだその大事な首位攻防戦で試合に出られるようなレベルではないなって」。客観的に見ても、納得してしまう自分がいた。
もちろん悔しさがないわけではない。小久保監督からの苦言もしっかりと受け止めた。「しっかり目を通して、2度としないようにって思いました。1球に対する集中力というか、執念っていうところをもう1回見直そうと自分の中で反省したという感じです」。
今宮健太内野手の復帰が決まり、庄子にとっては再び鍛錬の日々になる。「1点で負ける、勝つっていうのが決まる……その試合を目の前で見ることができたのは大きいです」。厳しい首位攻防戦を肌身で感じたのは、必ず自らの財産になる。次はその場に立てるように――。22歳はもう一度自らと向き合った。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)