先発転向2年目は8勝2敗、防御率1.27をマーク
一流は一流を知る――。前半戦を終えて8勝2敗、リーグトップの防御率1.27を誇るリバン・モイネロ投手。先発転向2年目でさらなる進化を遂げる左腕は、あらためてどこがすごいのか。過去に先発ローテで回った経験もある松本裕樹投手と杉山一樹投手に聞いた。「誰がどう見ても……」。ブルペンを支える2人が語ったリアルな評価とは。
「誰がどう見てもスーパーピッチャーです。中継ぎの時から、あれだけのピッチングをしていたので。あとは球数やペース配分の部分をクリアできれば、こうやってタイトル争いにも加われるような能力は当然あるので」
表情を変えることなく称賛の言葉を並べたのは松本裕だった。自身は2017年に先発として10試合に登板するなど、2021年までに計30試合で先発マウンドに上がった。「中継ぎとは全く別物ですね」。そう振り返ったうえで、“苦い思い出”を口にした。
「僕の場合は投げることに精いっぱいだった」
「僕の場合はシンプルにピッチングのクオリティが低かったので。今でこそ『こういうことがやりたい』っていうのを表現できるようになってきましたけど、あの時は本当に投げることに精いっぱいって感じでしたね」
今や球界を代表するリリーフとなった右腕でも大きな壁にぶち当たった“職場”だったからこそ、モイネロの凄みは人一倍わかる。「本当に球界の先発投手の中でも、トップクラスのピッチャーだなと思います」。誇張することなく言い切った。
2022年シーズンの9試合を含め、キャリア7年で12試合の先発登板を経験した杉山も「ティト(モイネロ)はもう別格やと思っているので。誰に聞いてもそう言うと思いますよ」と左腕のすごみを強調する。
「全球種が勝負するところまでいかなかった」
「全部のボールが一級品だし、中継ぎで158キロとか投げていたボールが150キロ近辺に落ち着いているだけで。真っすぐは(出力を)抑えている部分はあると思いますけど、他の球種が全て勝負球になるので。だからこそ抑えられるんだと思います」
現在は“暫定守護神”としてフル回転している杉山も、先発で回っていた当時は苦しんだ。「僕の場合はそこができなかった。全てのボールが勝負できるところまでいかなかったっていうことですね」。最速160キロの真っすぐと3種類を操るフォークで打者を圧倒する右腕も、苦い経験があったからこそ今がある。
「モイネロは先発とか中継ぎとか、そういう枠組みは関係ないです。とにかくすごいっす」。ホークスのブルペン陣を力強く支える2人が口をそろえて絶賛する助っ人左腕。後半戦も無双してくれるに違いない。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)