首脳陣から「信頼がない」 降格から2か月、大津亮介の胸中「捨てたわけではないけど…」

2か月ぶりに本拠地へ戻ってきた大津亮介【写真:古川剛伊】
2か月ぶりに本拠地へ戻ってきた大津亮介【写真:古川剛伊】

2軍では9試合に登板して防御率1.66をマーク

 2か月ぶりに本拠地へ戻ってきた。16日のみずほPayPayドームのグラウンドには大津亮介投手の姿があった。前日15日に連絡を受け、この日から合流。「もう早く来いって感じで待っていました」と登板を心待ちにする。

 今季、開幕ローテーションの最後の1枠を争った右腕はここまで3試合に登板し、0勝1敗、防御率4.15。5月14日の西武戦(みずほPayPayドーム)を最後に1軍の舞台から遠ざかっていた。2軍では9試合の登板で5勝2敗、防御率1.66。直近3登板の失点はいずれも1以下だった。

 2軍降格時、首脳陣から伝えられた言葉は「まだ信頼がない」という厳しいものだった。そこから2か月。大津が明かしたのは胸中の変化だった。「今年を捨てたわけではないんですけど……」。

「色々思うところはあった」滲ませた悔しさ

「やっぱり野球人生、マイナスの時期もあると思うので。いずれ絶対それが来ると思うので。それが来て、この1年が僕にとって成長できる年だなって思って。本当に長く野球するために、この抹消された期間を大事にしようと思っていました」

 5月の月間防御率は2試合の登板ながら2.08をマークしていた。にもかかわらず告げられた降格。「自分は評価される側なので」と、首脳陣への不満はない。一方で、複雑な思いが渦巻いていたのも事実だ。

「自分に対しての不満はありました。実力もなかったので。色々思うところはあったんですけど、結局たどり着いたのは、しっかり来年以降も絶対に外せないって思わせたいっていう気持ちでした」

 2軍では、フォームやボールの回転軸を一から見直した。大津にとって初めてぶち当たった“壁”。全てを変えるのに迷いはなかった。その中で手応えを掴んだのは、決め球でもあるフォーク。抹消以降、2軍では5度の登板で防御率1.13と無双した。そんな姿を見ていたのは倉野信次投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)だった。

見なかった先発陣の成績「気にはしていたけど…」

「決め球のフォークを徹底的に自分の武器にしてくることが課題だったので。そこをしっかりと僕の中ではクリアできたかなと思っていて。そこに関して(倉野コーチから)『良くなってきたね』と。ありがたいですね」

 5月以降、チームの先発投手陣では有原航平投手が復調し、松本晴投手は救援から転向。東浜巨投手も直近2試合で好投し、2年目のドラフト1位・前田悠伍投手は7月13日の楽天戦(楽天モバイルパーク)でプロ初勝利を挙げた。熾烈な先発争いの中、他の投手陣の成績はあえて見ないようにしていた。

「気にはしていましたけど、自分のトレーニングをやっている時は一切見ないようにしていました。人のことより自分のことを優先してやった方がいいので」

 2か月ぶりに巡ってきた1軍のチャンス。「抑える。抑えるしかないですね。使う方が不安だったら早めに落ちるし、不安要素を少しでもなくせるようにパワーをつけていたので」。やるべきことはわかっている。信頼は結果で掴み取るしかない。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)