斉藤和巳3軍監督から「お前が一番下」 衝撃の1軍デビュー…心に刻まれた“アツい言葉”

斗山ベアーズ戦に出場した石見颯真【写真:冨田成美】
斗山ベアーズ戦に出場した石見颯真【写真:冨田成美】

2打席連続タイムリーの1軍デビュー…「目立つことだけ考えて」

 鮮烈すぎる“1軍デビュー”を飾った。ドラフト5位ルーキーの石見颯真内野手(愛工大名電)が27日、韓国の斗山ベアーズ戦で2安打2打点をマークした。これまでC組で筑後春季キャンプを過ごしてきたが、26日に宮崎へ合流。「C組では本当に目立つ事だけを考えていました」という18歳が、持ち前の打撃力を見せつけた。

 6回から遊撃のポジションに入ると、7回無死一塁で迎えた初打席。2ボールから甘く入った球を逃さずフルスイングした。打球は左中間を破ると、執念のヘッドスライディングで三塁を陥れた。高卒ルーキーの適時三塁打にホークスベンチは大盛り上がり。さらに8回無死一、三塁での2打席目もフルカウントから打球を中前に運び、この日2打点目。守備では悪送球する場面もあったが、そのバットで確かな存在感を見せつけた。

「バッティングを買われてこっち(A組)に上げてもらっていると思うので。打撃でアピールできるようにっていうのが一番かなと思います」。初々しくも力強く、試合前に語っていた18歳。そんな石見が筑後から送り出される際に、斉藤和巳3軍監督が授けられた言葉がある。宮崎キャンプに合流できる嬉しさで頭がいっぱいになりながらも、深く胸に刻んだ言葉だ。

「声だけはずっと出してこいよ! 帰ってきた時に『声が出てなかったよ』っていうのだけは言われないように。もうお前が一番下なんだから。上の人を見て、盗めるものを盗んでこい!」

 宮崎への切符を手にした際に、斉藤3軍監督から伝えられた。「『えっ、行くんだ』という驚きでいっぱいで。もうその日から緊張してたので、どちらかと言うと嬉しさがもうほとんどって感じでした」。キャンプの組み分けが発表された時から、2月中の宮崎合流を目標にしていた石見。ひとつの目標を達成できたことに胸を躍らせる中で、同時に深く心に刻んだ言葉でもあった。

 そんなルーキーの魅力は打撃だ。176センチ、74キロの体格は、プロ野球選手としては決して大きくはないが、打撃練習では柵越えを連発。周囲が驚くほどの力強い打球を放つ姿があった。

「斉藤監督からも言われた、声のアピールっていうのを第一にしたいです。出場機会があればバッティングを見せられるようにというのも目標ですけど、まずは上の選手たちを見て、1つでも学べたら良いなと思っています」

適時三塁打を放った石見颯真【写真:冨田成美】
適時三塁打を放った石見颯真【写真:冨田成美】

 謙虚に語っていた石見だったが、1軍初実戦では2打席連続のタイムリーを放つ大活躍を見せた。指揮を執った小久保裕紀監督も「石見は衝撃的でしたね。あのデビュー戦は近年なかなかないですね」と目を丸くしながら称賛した。

 今宮健太内野手と川瀬晃内野手が怪我離脱する中で巡ってきたチャンス。声とバットでアピールし、少しでも多くのことを吸収したいと意気込む。華々しいデビューを飾った頼もしいルーキーから目が離せない。

(飯田航平 / Kohei Iida)