4年目の今季は1軍で10打席無安打5三振…「来年がラストと思って」
挑むべき相手は明確だ。壁は高くても越えるしかない――。強い覚悟を持って筑後での秋季キャンプに臨んでいるのは、4年目のシーズンを終えた井上朋也内野手だ。
昨オフには栗原陵矢内野手に「弟子入り」し、米アリゾナでの自主トレでレベルアップを図ったが、今季の1軍戦出場はわずか5試合のみ。10打席無安打、5三振と散々だった。2軍では打率.288、4本塁打、41打点と好成績を残したが、自己採点は「30点ですね」と厳しかった。
花咲徳栄高から2020年ドラフト1位で入団した21歳。プロ初出場を果たした3年目の昨季は15試合出場で打率.263、1本塁打、3打点と実力の片鱗をのぞかせたが、一気のステップアップとはいかなかった。来季に向けた思いは、いたってシンプルなものだ。
「打倒クリさんで。なかなかに高い壁ですけど、頑張って越えるしかないので。衰えるのを待つんじゃ駄目。自分が越えていきます」
今オフの自主トレはまだ未定だというが、「クリさんとは今年はやらないかなと思います」と言い切った。「今は全然、自分の実力が劣っているので。やっぱり同じことをやっていてもキツイかなって……」。先輩から学んだことは胸に残しつつ、さらに自らを追い込むつもりだ。
自身の課題ははっきりしている。「今年は2軍で対左(投手)が(打率)3割5分で、対右が2割6分くらいだったので。左は打てるんだけど、右はスライダーみたいに逃げていくボールに対して打率が低いので。とにかくそこを改善しようと(明石)健志さん(2軍打撃コーチ)と話し合っています」。
長打力も魅力の1つだが、自身の中で明確な優先順位を付けている。「もちろん長打も打ちたいんですけど、理想は“ずっと打ち続けてる選手”になりたい。健志さんからも『長打力を上げるのと、打率を残すことの両方を一気にはできないから』と言われているので。まずは率を残せるようにやってます」。取り組むべきことは、はっきりとしている。
来季は5年目を迎える。「(大卒1年目として)同級生も入ってきますし、どんどんチャンスもなくなってくるので。本当に来年がラストだと思ってやります」。プロとして今後を左右する重要な1年になることは間違いない。“打倒・栗原”――。あまりに高いハードルであっても、立ち向かっていく。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)