月イチ連載の第2回…後編テーマは「近藤健介と柳田悠岐」
近藤健介外野手による月イチ連載。第2回後編のテーマは「近藤健介と柳田悠岐」です。ホークスへのFA移籍を決断した大きな要因だったという「ギータ」の存在。離脱を受けて芽生えたリーダーとしての自覚……。鷹フルユーザーに向け、近藤選手が本音を明かしてくれました。
鷹フルをご愛読の皆さま、こんにちは。今回はギーさんについてお話ししたいと思います。これまでオールスターで一緒になることはありましたけど、初めてしっかりと話せたのは2021年の東京五輪。ホークスに来た去年は1年間一緒にプレーできました。本当にスケールが大きい人で、皆さんと同じように僕にとってもスーパースターです。
日本ハム時代は周りから「ライバル」として見られていたかもしれません。2015年、2018年はどちらも僕が打率リーグ3位で、ギーさんが首位打者。2020年は僕が3位で、ギーさんが2位でした。客観的に見ればタイトル争いの好敵手ですが、僕自身が抱いていた感情は全く違ったものでした。
率直に「敵わないな」の一言です。シーズンによって数字(打率)の近い、遠いはありましたけど、ギーさんの打撃を目の当たりにすると「上回るのはもう無理だな」って諦めさせられるというか。全然ものが違う。その感情は今も変わらないですね。
今の長打を求めるスタイルは東京五輪がきっかけという話はこれまでもしてきましたが、その大きな要因となったのもギーさんです。バッティング練習から違うというか。「うまい」じゃなくて「すごい」。このままじゃ僕の野球人生はつまんなく終わっちゃうな、長くできないなって思ったのが正直なところでした。
そんな経験を重ねて迎えた2022年オフ。僕はホークスにFA移籍することを決めましたが、決断をする中で頭の中にあったのはギーさんの存在でした。やっぱり球界ナンバーワンだと思ってましたし、その選手を間近で見て、感じるものはたくさんあるだろうなと。
見ても分かるように、ホークスには若くて能力も高い選手が山ほどいます。自分(の打撃)が変わっている最中だったので、培ってきたもので勝負するというよりは、新たな姿で勝負したいなという思いが強かった。その中でも、ギーさんと同じチームで一緒にプレーできたら、自分がより成長できるだろうという思いもありました。
今シーズンはそのギーさんが故障でチームを離れています。これまでもチームに与える影響力や存在感はすごいなと思ってましたけど、いなくなって改めてその存在の大きさ感じているところです。
チームの大黒柱がいない中で、僕が「(移籍して)まだ2年目ですし……」っていうのも、もうなんか言ってられないなと思います。しっかり数字を残して、チームが勝てるようやらなきゃいけない。ギーさんがいた時はどこか甘えてた部分もあったなと、振り返ってみると思いましたね。
去年は本当に自分のことで精一杯でした。でも今年はある程度余裕ができています。(6月12日のヤクルト戦で)右手を痛めましたけど、絶対に離脱しないというのを前提に置きながらやっています。当然戦力としては、長い目で見たらギーさんがいるといないでは違う。今はいいですけど、また苦しい時は必ず来ると思うので。その時にはなんとか粘って。またギーさんが帰ってきた時には活躍してもらえる舞台を整えていたいなと思っていますね。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)2024.06.29