“いじられキャラ”は「A組にはバレてない」 新人選手たちが感じたプロ野球の世界

ソフトバンク・村田賢一、岩井俊介、大泉周也(左から)【写真:飯田航平】
ソフトバンク・村田賢一、岩井俊介、大泉周也(左から)【写真:飯田航平】

プロのトレーニングは「質も量も違った」

 ソフトバンクは宮崎での春季キャンプを終え、3月2日からいよいよオープン戦がスタートする。キャンプインの時点でA組に抜擢された新人選手はいなかったが、ドラフト3位の廣瀨隆太内野手や同4位の村田賢一投手らはキャンプ途中でA組参加を経験。同2位の岩井俊介投手はオープン戦でもA組に同行することが決まった。ルーキーたちが初のキャンプで得たものは? 個々が感じた先輩たちとの“差”とは? 岩井、村田、大泉周也外野手の3人が1年目のキャンプを振り返った。

〇岩井俊介投手
――キャンプを振り返って。
「思ったよりキツかったです。大学の練習もそこそこキツかったですけど、全然キツいです」

――どういったところが違う?
「量も質も違います。体幹トレーニングにしても、初めて行うメニューばかりだったので、プロの練習はすごいな、と思いました。そういうところで質の違いを感じました」

――先輩を見て感じたことは?
「やっぱり意識の違いを感じました。アーリーワークをずっとやっていたんですが、やり方や過ごし方が違いました。自分の体を1番知っているのは自分なので、という考え方などもけっこう教えてもらいました」

――A組でも実戦に登板した。
「イマイチ僕の中ではまだ腕が振れていない。まだまだいける気がするので、もっと腕を振っていきたい気持ちはあります」

――150キロを計測することもあった。
「150キロは自分の中ではまだまだです」

――技術的な違いはどんな場面で感じた?
「ブルペンを見ていると、コントロールの精度が全然違うと感じました」

――今後はコントロールを意識していく?
「今はコントロールというより、腕をどれだけ振るか。僕はそっちのタイプなので」

〇大泉周也外野手
――キャンプを振り返って。
「初めてということで、最初の方はすごく疲れていたんですけど、徐々に慣れていきました。試合にも出させてもらったんですけど、自分の中では、ちょっと力が入ってしまったり、力んでしまうところがあって、力を発揮できていないところがいっぱいありました。でも、怪我をしないことを1番の目標にしていたので、良いキャンプになったと思います」

――いいところを見せようとして力が入った?
「そうですね。結果を出したい、結果を出したい、となっていたなっていうのが正直なところです」

――キャンプで得たものは?
「室内などでA組の選手が練習されていて一緒になったりするので、そういうところで刺激を受けました。A組の選手と近くで練習できることが、すごく自分のためになったと思います」

――A組でのランチ特打ではいいアピールができたのでは?
「あの時は、背伸びしないで、普通に自分のスイングをしようと思っていました。緊張はしましたけど、今はできることをやるだけかなと思います」

――コーチにかけられた印象的な言葉は?
「『結果を気にしすぎるな、今は思い切っていけ』と、明石コーチから言われています。徐々に力も抜けてきて、実戦でもヒットが打てたので、ちょっとホッとしています」

――キャンプで驚いたことは?
「常に大勢の人が見てるっていうことは今までになかったので驚きました。平日の練習でもいろんな方が見ていますし、そういうところでは、常に緊張感がありました。最初は慣れなかったですけど、人の目はすごく感じました」

――チームには打ち解けた?
「基本的にみんな優しいです。B組でも年齢はそんなに下の方ではないので、年上は佐藤直樹さんとか嶺井(博希)さんぐらいなので、やりやすいといえばやりやすいです」

――プレーを見て驚いた選手は?
「バッティング練習を見ていると、みんな飛ばすなと思いました。特にリチャードは飛ばすと思いました」

――新人選手の中での立ち位置は?
「同期はほとんどが大卒で、僕が年上なので、けっこう僕の部屋に集まってくるんですよ。夜ご飯を食べた後に、集まって話したりします。岩井とか、大山(凌)もそうですし、廣瀨(隆太)も来ますね。前田(悠伍)もけっこう仲良いですね」

――みんなで部屋に来る?
「みんなで来るときもあれば、個別で来たりとかも全然あります」

――どんな話をする?
「それは色々ですよ(笑)プライベートなことだったり、野球の話をしています」

〇村田賢一投手
――キャンプを振り返って。
「やっぱり予想以上に疲れは来ました」

――気疲れか? 体力面か?
「気疲れの部分だと思います。でも、ウエートとかでも先輩たちばかりの時もあったので、一層力が入る時もありました。そういう面では、体力的にもキツかったとこもあります」

――先輩との交流もあった?
「B組は特に仲良くなれたと思うんですけど、A組では有原(航平)さんですね。お世話になっている人が同じだったり、東京六大学の先輩でもあるので、そこは少し話ができたかなっていうのはあります。色んな話を聞かせてもらっています」

――有原投手とはどんな話をした?
「野球の話をさせていただいたりします。最初は『今の明大はどんな感じなの?』みたいな話から始まって、大学時代の勝利数の話になって。そこに和田(毅)さんがいて、隣には東浜(巨)さんもいて、ちょっと争うものじゃないなと思いました(笑)。自分が15勝していて、有原さんが19勝、和田さんは27勝。東浜さんは(東都で)35勝しているんですよ。もう争うものじゃないなって(笑)」

――先輩の投球を見て驚いたこと。
「紅白戦の2戦目だったと思うんですけど、東浜さんを後ろから見ていて『すっげぇ球投げるな』って思いました。糸を引いているような球ですし、変化球もほぼ低めに決まっていましたし、これが打たれないということなんだな、と思いました」

――目標にする投手は?
「東浜さんを参考にさせていただこうかなとはずっと思っていたんです。比べてみると、もうちょっと球速を上げなきゃいけないなっていうのはもちろんですが、1番は変化球の精度です。こういう風にカウントを取れば、もっと楽に投げられるんだ、ということが勉強できたので、ここから積み重ねて東浜さんのように投げられるように頑張りたいと思いました」

――東浜投手とは投げる球種も似ている?
「そうですね。球種も重なる部分があるので、参考にさせていただきながら、自分のスタイルを築けられればいいと思っています。主に使っていくような球種はあまり変わりないと思うので、こういった場面でこういう球を投げる、ということが勉強になりましたし、こういうところに投げきれるようにしなきゃいけないんだな、ということはこの1か月でちゃんとイメージができたので、すごく有意義になったなと思います」

――今までの配球とは違う考えを持つことができた?
「軌道のイメージがすごく参考になりました。こういうとこに投げきれれば、しっかりとカウントが取れるし、今までこういう配球をしてこなかったなと感じる部分ももちろんありました。色んな面で参考になりました」

――チームには打ち解けた?
「もう自分はどこに行っても、先輩後輩関係なく色々なことを言われ続ける、みたいなところがあるので、イジり続けられている感じですね(笑い)」

――仲良くなるキッカケになる。
「いいことなんですかね? わからないですけど、それで仲良くなれるなら全然いいかなと思います。日数が経っていないので、A組にはまだ(いじられキャラが)バレてないっていうのがありますけど、小学校の時からずっとこんな感じなので、これからもずっとこの感じなんだろうな……(笑い)」

(飯田航平 / Kohei Iida)