ハプニングやトラブルも…米国で浴びた洗礼 栗原陵矢が“本場”で感じた日米の差

ソフトバンク・栗原陵矢【写真:上杉あずさ】
ソフトバンク・栗原陵矢【写真:上杉あずさ】

「日本じゃなかなか考えられないようなトラブルもあった」

 ソフトバンクの栗原陵矢外野手が、福岡・筑後市にあるファーム施設「HAWKS ベースボールパーク筑後」で自主トレを報道陣に公開した。2年連続で年明けからアメリカ・アリゾナ州で自主トレを行った。井上朋也内野手と共に汗を流した約3週間で感じたのは“日米における違い”だった。

 米国の施設では打撃をメインに置き、肉体強化のトレーニングに取り組んできた。「自分の弱点であったり、弱いところを修正するというところと、フォーム的にまだまだ納得のいくものはなかったので、そこをしっかりと探す、固める作業をしました」。土台となる部分を見直し「手で打たないように、とは思っています」と、下半身で打つ、身体全体で打つ意識を持ってバットを振ってきた。

 使用した施設はメジャーリーガーも足を運ぶ場所で「今年は(来るメジャーリーガーが)多かったですね。(元ヤクルトでダイヤモンドバックスの)マクガフもそうですし、(広島から楽天に移籍した)ターリーにも会いましたよ。いろんな選手が話しかけてくれた感じですね。『うまくやれてる?』みたいな、気にしてくれるような感じで聞いてくれることは多かったです」という。

 昨季、ダイヤモンドバックスで155試合に出場し、新人として史上初の25本塁打、50盗塁を決めたコービン・キャロル外野手とも対面。「凄かったです。でも、何も聞けなかったです。握手だけしました」と苦笑いだったが、そのどれもが、栗原にとっては刺激的な時間となったようだ。

「すごく細かい部分もきっちりやるなっていうのは大きかったですね。身体はすごくでかいですし、重さを上げるっていう部分でもすごいですけど、なんか1番はやっぱり、本当に丁寧に動き1つ1つやるなと思いましたし。そういったところが、なんかちょっとあんまり日本にはないなと思いましたね」

 日本人の方が、アメリカ人よりも物事を“丁寧”にこなすイメージが強いが、ことトレーニングになるとそれとは全くの対極にある。メジャーリーガーたちの練習、トレーニングを見ると、1つの動き、1つの動作を実に丁寧に、気を配って行っていた。パワフルな野球の根幹には、丁寧で細かい取り組みがあったのだ。

 生活の環境も新たな気づきを与えてくれた。「やっぱり環境が違う中で、いろんなことが起こりましたけど、その中でブレることなく強い気持ちを持ってトレーニングであったり、毎日を過ごせたかなと思います」。生活面では様々なアクシデント、トラブルに見舞われたという。

「ジムの鍵を開けてくれる人が来なかったりとか、生活する中でも家の電気が全くつかなかったりとか、いろんなことがありました。でも、楽しかったです。日本じゃなかなか考えられないようなトラブルもあった中でのトレーニングになったかなと思います」

 こう話す栗原の表情は笑顔だった。どんなトラブルも全てを経験として受け止めた。アメリカの文化や自然、大地のエネルギーにも触れることができた。「何があってもブレることなく、やれることを集中してやりました」と、野球にも全力で取り組んできた。

 今季、レギュラーが確約されているのは、柳田悠岐外野手と近藤健介外野手の2人だけ。栗原は小久保裕紀監督から伝えられていないポジションについて「やっぱりサードで出たいです」とキッパリ。今季から登録のポジションも「外野手」から「内野手」へと変更になる。「とにかく自分のポジションをまず取ることが第一かなと思います」と決意を口にした。

 新たに山川穂高内野手、アダム・ウォーカー外野手が加わり、打線には一層の厚みが出る。その中で栗原自身は「打点にこだわっていきたい。まずはしっかりとレギュラーを獲ること。あとは本当に1年間しっかり戦うことを目標に頑張りたいと思います」と語る。大怪我から復帰した昨季、またしても故障離脱を味わい、シーズンを通して戦えなかった。「ガツガツいきたいです。頑張ります」。今年こそシーズンを通して1軍の舞台で活躍してみせる。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)