ドラ3生海がプロ初の1軍合流 強心臓? マイペース? 独特キャラが魅力のロマン砲

ソフトバンク・生海【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・生海【写真:藤浦一都】

13日のウエスタン阪神戦でサヨナラ弾も記念のボールは「どこやったっけ?」

 強心臓なのか、マイペースなのか――。将来が楽しみなドラフト3位ルーキーの生海外野手が15日のヤクルト戦(神宮)で初めて1軍に合流した。2軍でここまで28試合に出場。打率は.232と高くはないが、2本塁打を放ってインパクトを残した。出場選手登録はされなかったものの、開幕してから初めて1軍の練習に加わった。

 13日にタマスタ筑後で行われたウエスタン・リーグの阪神戦。1-1の同点で迎えた9回1死で打席に入った生海は2球目をとらえた。「打った瞬間、もういったなと思いました」。“自身初”というサヨナラ本塁打。試合後には「気持ちよかったです」と満面の笑みを浮かべていた。小久保裕紀2軍監督は「三振かホームランの場面で、出塁というよりあれぐらい思い切っていく方が、この世界では生き残れる可能性は高いでしょうね」と思い切りの良さを評価していた。

 スラッガーらしく、やはり一発を狙っていたのだろうか。生海に聞くと「いや、もう(特に打席での)意識はないです。チャンスを作ろうと思って。それが良かったんじゃないですかね」と、のほほんとした答えが返ってきた。大きいのを狙う意識なのか、繋ぐ意識なのか問われても「どうなんですかね。ごめんなさい。ちょっと考えてないです。適当に打ちました」と頭をかいていた。

 ルーキーながら2軍で4番に座る。ただ、主軸の重圧についても「なんもないです」と笑う。果たして、強心臓なのか、マイペースなのか……。生海というキャラクターとはいかなるものなのだろうか。同じ大卒で同期入団の西尾歩真内野手は「ネジが1、2個飛んでるんで」とイジりつつ、その人間性を表す。手元に戻ってきた自身初というサヨナラ弾の“記念球”も「あれ? どこやったっけ? キャッチボール用のボールに入れたかも」と、どこかにやってしまったようだ。

 そんな人柄だけでなく、もちろん持っているポテンシャルも“規格外”だ。生海自身は「今の状態はあんまりよろしくないので、今はホームランというよりかは、ライナーとかそういうのを打ち出して、掴んでいけたらいいかなって、最近思っています」と現状を見つめる。状態の良くない中で、右翼の防球ネットの中ほどに突き刺さる特大弾を放てるのだからロマンがある。

 小久保2軍監督は「打つこと以外にやることが多すぎるんで、彼は」と走塁面や守備面にまだ課題が多いと指摘していた。打撃面は申し分なくとも「それ(打撃)以外のところをやっておかないと、なかなか1軍にポッとは入れないですからね」と語ってもいたが、近藤健介外野手が14日のヤクルト戦(神宮)で腰の違和感を訴えて途中交代したこともあり、急遽、1軍合流が決まった。

「2軍で結果を残してから上がりたいです」と、地に足を付けて、レベルアップすることを誓っていた生海。まだまだ課題がある中で、登録はされずとも1軍に呼ばれたということは、首脳陣からの期待も高いということ。ロマンあふれるルーキーのこれからに注目だ。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)