村上泰斗と和田毅氏…2人だけで語った“60分間” ドラ1が受け取った金言「無意味な時間が増える」

  • 記者:森大樹
    2026.04.11
  • 2軍
村上泰斗【写真:竹村岳】
村上泰斗【写真:竹村岳】

筑後で過ごした春季キャンプ

 考え方が変わった瞬間だった。2月下旬のタマスタ筑後で“特別な時間”が流れた。2024年ドラフト1位の村上泰斗投手と和田毅球団統括本部付アドバイザー。2人の濃密な会話は1時間が過ぎても途切れることはなかった。

「最初は和田さんから、『話そうや』みたいな感じで話しかけてもらって。自分にとってはすごくきっかけになった時間でした」

 ルーキーイヤーの昨季は、6月末に右肘と腰の炎症が判明。そのままリハビリ組でシーズンを終える悔しい1年目となった。その影響もあり、春季キャンプはC組として筑後で調整する日々。そんな時、胸を突いたのがレジェンドからの言葉だった。「このままじゃ、無意味な時間を過ごしてしまう」。その真意に迫った――。

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続きの内容は

和田毅氏が伝授した、若鷹の意識を根底から変えた「魔法の問い」
初先発であえて球種を絞った、倉野コーチと確認した「真の狙い」
過酷なリハビリを「今となっては良かった」と語れる心境の核心

「『この練習は何の意味があるんだろう、ではなくて、この練習をどうやったら自分が良くなるんだろう。そういう考え方をしていこうよ。試合でこういう動きがあるから、この練習をやりたい、やろうと自分にベクトルを向けた方がいい』」

「この1年どうだった?」という問いかけから始まった2人の会話。日米通算で165勝を挙げたレジェンドに、練習との向き合い方を相談すると、自分主体で考えて取り組む重要性を説かれた。

 ストイックにトレーニングへ打ち込む一方で、「去年は右も左もわからなくて、“ただやっている”感じがあった」と振り返る。コーディネーターら、周囲からは「今は焦る時期じゃないから気をつけて」と声をかけられることも多かったが、結果として故障に見舞われ、不本意なシーズンを過ごした。だが、この対話をきっかけに意識を根底から変えることができた。

「やっぱり自分から考えないと、無意味な時間が増えてしまう。例えばネットで見つけたトレーニングでも、『これ、自分に使えるかも』『良い方向に向くかも』と考える。分からなければ、SC(ストレングス&コンディショニング)の方に聞く。そういう時間が増えました」。意識が大きく変わる、貴重な気づきだった。

プロ入り初先発「やっぱり新鮮」

 3月に実戦復帰すると順調にステップアップし、4日には香川オリーブガイナーズとの3軍戦でプロ入り後初となる先発マウンドに上がった。3回1/3を投げて72球、4安打3失点(自責1)。自己最速を更新する155キロもマークした。神戸弘陵高3年夏以来となる先発。久しぶりの真っさらなマウンドだった。

「3軍戦だから登場曲はないですけど、試合が始まる雰囲気、ベンチからマウンドに上がることが新鮮でした。緊張よりも『早く投げたい』というワクワクの方が大きかったです」

 倉野信次1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)と「まずは軸になる球種、真っすぐとカーブを磨こう」と話し、この日はあえて2球種に絞って登板。「ストライク率、出力、フォームの粘りという3つのテーマを明確にできた登板だったと思います」と笑顔で振り返った。

 次回登板以降は他の球種も解禁していく予定だ。着実に階段を上る一方、二度と同じ悔しさは繰り返さない。「まずは1年間、怪我なくやり遂げること。それが一番です。自分の体や野球について考える時間が増えたという意味では、去年の怪我も今となっては良かったのかなと、やっとそう思えるようになりました」。背番号「20」が、2年目の飛躍を誓う。

(森大樹 / Daiki Mori)

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