杉山一樹「メンタル崩壊しました」 オフから抱いていた自分への“疑問”…サヨナラ負けで出た答え

  • 記者:飯田航平
    2026.04.05
  • 1軍
サヨナラ負けを喫し、立ちすくむ杉山一樹【写真:栗木一考】
サヨナラ負けを喫し、立ちすくむ杉山一樹【写真:栗木一考】

右腕が語った「失敗はしたくない」

 かつてないほどに自分自身の感情をコントロールできなくなっていた。3日のロッテ戦(ZOZOマリンスタジアム)。昨季の6月から守護神として9回のマウンドを守ってきた杉山一樹投手を待ち受けていたのは、初めての“失敗”だった。

 昨季は31セーブを挙げ、自身初となるタイトルを獲得。今季も3日までに2セーブを挙げていた。昨季はセーブシチュエーションでの登板で試合を締めくくれなかったことが1度もなかった中で、背番号40は3失点を喫し、サヨナラ負けを喫した。

 試合後には「大迷惑をかけてしまったんで、申し訳ないです」とだけ語り、深く沈み込んでいた右腕。一夜明けた4日の試合前には小久保裕紀監督が歩み寄り、話しかける場面もあった。味わったことがなかった悔しさ――。「メンタルが崩壊しました」。絶望を味わった守護神が、改めて感じた純粋な思いとは。

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続きの内容は

初失敗後、守護神が漏らした「野球を辞めたい」の真意
杉山がサヨナラの夜に見つけた「守護神としての生きる道」
小久保監督が杉山に確認した「敗戦の裏側にある違和感」

自問自答の末に出た答え

「去年から9回を投げるのは『楽しい』と思っていたんです。それは失敗がなかったから楽しいと思えていただけなのか、失敗があっても楽しいと思えるのか。それは自分の中にずっとあった考えでした」

 杉山が語ったのは、日本一を達成し、タイトルを獲得した昨季のオフから抱いていた自分自身への“疑問”だった。「シーズンが終わって『楽しいってなんだろうな』と。結構、自問自答していました。失敗はしたくない。でもそうなった時に、自分がどう思えるかというのを大事にしたいなと。そこで後悔が生まれないように」。3日の試合後、ホテルの部屋でただ1人、その答え合わせをした。

「こんなこと言うのはアレですけど、『やっぱり楽しい場面ではあるな』と自分の中で感じました。でも、やっぱり勝たないといけないので。そこでメンタルが崩壊してしまいましたね」

 杉山が出した答えは、“失敗がなかったから楽しかったわけではない”ということだった。9回を任される責任感。ヒリヒリするような展開でマウンドに立つことが、自身の生きる道だと再確認した。それでも、初めて味わう挫折のショックは大きかった。

「野球を辞めたいくらいまで(落ち込みました)。それくらい重要なポジションで、チームの勝敗がかかっているので。普段から先発や中継ぎが繋いでくれた“その1イニング”を無駄にしたくない気持ちは強いので。けっこうきつかったです」

4日の試合を締め括った杉山【写真:栗木一考】
4日の試合を締め括った杉山【写真:栗木一考】

指揮官が杉山に確認したこととは?

 小久保監督からは「クセが出て打たれたのか?」と確認された。指揮官にとっても、今季初対戦のロッテ打線が杉山から3得点した対応力に違和感を覚えたのだろう。だが、杉山はそれを明確に否定した。

「僕の技術不足です。調子自体は悪くなかったので。続け球を打たれたり、普段だったら追い込んだ後にゾーンから外すはずのフォークを残してしまったり。自分の技術不足です」

 翌4日、3点リードで迎えた9回2死一、三塁から登板した杉山は、山口を中飛に抑えてセーブを記録した。「チームが勝てば僕はなんでもいい。もし必要とされる場面で投げるとなったら、もちろん次は絶対に抑えたいし。そこは多分シーズンを通しても変わらない」。失敗を経ても、9回のマウンドは楽しい場所だと言い切った強さ。これからも杉山は守護神として、誇りを持ってマウンドで腕を振る。

(飯田航平 / Kohei Iida)