開幕4連勝を呼び込んだ力投
「いい投球だったと思います」。最大のピンチを乗り越えた“確信”の3球連続直球――。自身の投球を納得の表情で振り返ったのは大関友久投手だ。3月31日の楽天戦(楽天モバイル最強パーク宮城)、先発マウンドに上がった左腕は6回1失点の力投で今季初勝利を挙げ、チームを開幕4連勝へと導いた。
2回に1点を失うなど、序盤からランナーを背負う投球だったが、粘り強く「0」を刻んだ。決して「絶好調」とは言えないコンディション。その中で迎えた最大の山場は1点リードの5回、2死満塁のピンチだった。
ベンチからマウンドに駆け寄った倉野信次1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)は、「もうあそこは振り絞る場面。それだけ伝えました」と、その時のやり取りを明かす。結果的に
浅村を空振り三振に仕留め、マウンドで雄叫びをあげた左腕。1ボール2ストライクから選択したのは、3球続けての直球だった。その決断の理由を、大関はこう明かす。
会員になると続きをご覧いただけます
続きの内容は
大関が明かした、3連続直球の裏にあった「仮説と意志」
倉野コーチが明かす、6回続投の裏にあった「本当の理由」
降板後も熱く。最前線で仲間を出迎えた大関が語った「思い」
「もちろん配球の流れもありましたけど、最後の一球は僕の意思。ストレートだと決めて投げました」
浅村への5球目、試合を通しての86球目にこの日最速の143キロを計測。これはわずかに外れたが、フルカウントから渾身の142キロ真っすぐで空振りを奪った。コースは甘かったものの、数字以上の重みを伴ってミットに突き刺さったラストボール。「自分なりの仮説を立てて臨んだ一球で、それが良い結果に繋がった。自分の中でも理想的なボールが投げられました」と、清々しく語る。まさに、自らの「意志」で相手をねじ伏せた場面だった。
白い息を吐きながらも半袖で熱投
最大の難所を乗り越えた背番号47の闘志は、6回のマウンドにも宿っていた。「5回に踏ん張れたことで、6回はいい形で終われた」。この日初めて楽天打線を三者凡退に抑え、完璧な形で救援陣にバトンを繋いだ。
続投の判断について、倉野コーチはこう説明する。「あの三振があったからというより、球数とかも含めてまだ行けると判断した。何でもかんでも早く(継投する)というわけにはいかないので」。楽天、ロッテと続く6連戦の初戦だったこともあり、少しでも長いイニングを投げてほしいという期待もあっただろう。大関は見事な投球で先発の責務を果たしてみせた。
マウンドを降りた後の振る舞いにも、チームを背負う責任感がにじみ出ていた。8回に登板した松本裕樹投手が1失点を喫しながらも後続を断つと、ベンチの最前線で右腕を出迎えた。「チームの勝利がすごく大事だと思うので。あそこで踏ん張ってくださったので、ナイスピッチングだと思って迎えました」。仲間の力投に敬意を払い、自然と体が動く。その姿には確かな自覚が宿っていた。
まだまだ寒さが残る東北。試合中盤には雨が降り、吐く息が白く染まる天候下でも、大関は半袖で投げ抜いた。5回は勝敗の行方を左右する局面だったが、三振で切り抜けたことに、昨季最高勝率のタイトルを獲得した男の凄みを感じた。今季も“負けない左腕”のシーズンが始まった。
(飯田航平 / Kohei Iida)