リハ組から3軍…大山凌が語る現在地「落ちるところまで落ちた」 どん底の支えとなった愛息の成長

筑後でリハビリ調整する大山凌【写真:竹村岳】
筑後でリハビリ調整する大山凌【写真:竹村岳】

3月中の3軍戦で復帰予定

 1軍のまばゆいスポットライトから離れること8か月――。どん底を味わった右腕が再出発の一歩を踏み出した。右肩のインピンジメント症候群によりリハビリ組で調整を続けていた大山凌投手が18日、ライブBP(実戦形式の打撃投手)のマウンドに上がった。

「肩は大丈夫です。対バッターは今季初めてだったんですけど最初にしては、という感じでした。良いボールもあれば、悪いボールもありました」。筑後の室内練習場で6人と対戦し、安打性の当たりは1本のみ。久しぶりの実戦形式のマウンドに安堵の色が浮かんだ。

 春季キャンプ中の2月12日に離脱。プロ3年目で初めてリハビリ組の管轄となった。昨季は26試合に登板し、防御率2.35をマーク。しかし、夏場にフォームを崩して登録抹消されると、以降は1軍に合流することなく日々を過ごしてきた。8か月もの時間、どのような心境で野球に向き合ってきたのか。右腕は静かに、自身の現在地を語り始めた。

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大山投手を苦しめた「もどかしさ」の真相
リハビリの辛さを癒やした「愛息の成長」秘話
目標は高く、期待は低く…言葉に隠された「復活の哲学」

「自分的には落ちるとこまで落ちたつもりなので、もう上がるしかないと思ってやっています。ましてやリハビリに来てっていう感じですし……」

 昨年8月3日、大山が登録抹消される際に小久保裕紀監督は「戦力としてみている」とはっきり語っていた。それが今では1軍の舞台から遠ざかり、リハビリ組管轄で3軍戦に出場しようかという状態。そんな現実に、納得できるはずもなかった。胸の中に渦巻いているのは、やり場のないもどかしさだけだった。

大山を支えた愛息の成長

 そんな大山の心を支えているのは、愛する家族の存在だ。本来であれば宮崎で愛息の1歳の誕生日をお祝いするはずだったが、離脱により福岡で迎えることになった。「めちゃくちゃ歩くのが速いんです」。すくすくと成長する姿に勇気づけられ、その度に1軍での再起を誓った。

 そんな右腕が今、座右の銘にしているものがある。メジャーで戦う菊池雄星投手が発した「目標は高く、期待は低く」という一節だ。なぜ、自分への期待をあえて低くするのか――。

「目標も期待も高くなっちゃうと、それに応えられなかった時のギャップが面倒くさいんです。『まあこんなもんか、また次頑張ろう』と思えるくらいが、僕には必要なのかなって」。完璧を求めすぎて折れるのではなく、しなやかに立ち上がるために――。大山は心に留める言葉の真意をそう明かした。

 順調にいけば3月中の2軍戦登板も見えてくる。「3軍の試合で投げて、問題がなければリハビリからは卒業になると思います。そのあとは、2軍なのか3軍なのかはわからないですけど」。這い上がった先に見える景色が、以前と同じはずはない。痛みを知り、どん底を認め、家族の歩みに背中を押された大山は、たくましさを増した姿で1軍の舞台に戻ってくるはずだ。

(飯田航平 / Kohei Iida)