ドラ5高橋隆慶はなぜ2軍降格? サヨナラ弾で示した存在感も…首脳陣が指摘する明確な課題

打撃練習を行う高橋隆慶【写真:栗木一考】
打撃練習を行う高橋隆慶【写真:栗木一考】

春季キャンプからA組に抜擢…オープン戦ではサヨナラ弾も

 打力は紛れもなく1軍で通用するものだった。ただ、3月14日、ドラフト5位ルーキー高橋隆慶内野手の姿は1軍がオープン戦を戦う横浜ではなく、2軍のファームリーグ開幕戦が行われた大阪にあった。首脳陣から明確な課題を与えられての“2軍行き”だった。

 3月3日に本拠地みずほPayPayドームで行われたヤクルトとのオープン戦。9回に逆転サヨナラ2ランを放ち、その存在感を強烈にファンに印象づけた。しかし、3月11日と12日は昼に2軍の春季教育リーグ・広島戦、夜に1軍の巨人とのオープン戦の“親子ゲーム”に。そして1軍も2軍も遠征となるこのタイミングで、2軍に合流することになった。

 14日のDeNAとのオープン戦前、小久保裕紀監督は高橋について「打つのは下でもかなり成績を残すと思う」と打撃面の実力を認めた上で降格の理由に挙げた。プロの1軍で戦うには「打てる」だけでは足りない。186センチ、93キロの大型内野手である高橋に足りないものとはなにか。本多雄一内野守備走塁コーチに聞いた。

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続きの内容は

本多コーチが明かす送球の致命的な「癖」
小久保監督が語った1軍定着の「壁」
「頭と体」の不一致を解消する練習法
送球練習をする高橋隆慶【写真:栗木一考】
送球練習をする高橋隆慶【写真:栗木一考】

「力が入った時に…」本多コーチが指摘する送球の癖

 魅力的な打撃を誇る一方、高橋が1軍でプレーするための課題は明確だった。本多コーチはキッパリとこう言い切った。

「送球じゃないですかね。(送球ミスが)高いのと、シュート回転ですね」

 高橋にとっての課題は守備、とくに送球面にあるという。本多コーチはこう続ける。

「自分のリズムで加減して投げると、いい球がそれなりに行くんですけど、どうしてもいい球を投げてあげないといけないと思って力が入った時に、抜けていくんですよ。自分の頭で思ってることとやっていることを一致させないといけないですね」

 自分のリズムで投げられる時はまだいい。ただ、試合中はそう言ってばかりもいられない。緊迫した場面、自分のリズムで投げられない状況で“いい球を投げよう”とすると、送球のミスが出がちだという。

 小久保監督はこう指摘する。「捕ったら安心っていうレベルじゃないと、1軍ではなかなか使うことができないっていうので(2軍へ)送り出している」。どれだけ打撃面が秀でていようとも、三塁や二塁というポジション柄、守備面で計算が立たないと起用は難しい。本多コーチが「それはみんなそう」と言うように、高橋に限った話ではなく、どの選手にも言えることだ。

 課題を克服するためには、とにかく練習と実戦を積むしかない。本多コーチは「捕ってからのリズムを反復練習していかないと。捕るまでのリズムと、捕ってからのリズムっていうのは大事。そこが練習していかないといけないところ」と語る。レギュラー陣が開幕に向けた仕上げに入っていく段階の1軍で、若手は実戦の機会はなかなか得られない。課題にしっかり取り組ませ、反復練習と実戦経験を積ませるため、首脳陣は2軍行きを命じた。

 打撃面については十分な力を持っている。あとは守備で信頼を勝ち取るだけ――。2軍での日々は、高橋隆慶にとって1軍定着への助走期間となる。小久保監督と本多コーチが示した課題と向き合った先に、再び1軍の土を踏む日が待っている。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)