上茶谷大河が見るWBC 責任感を知るからこそ…牧秀悟の走塁ミス「めっちゃキツいやろな」

牧秀悟と上茶谷大河【写真:小林靖、竹村岳】
牧秀悟と上茶谷大河【写真:小林靖、竹村岳】

上茶谷大河も涙の経験…思いを馳せた牧秀悟の胸中

 日本だけでなく、世界中が注目するワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。特別な思いを胸に野球日本代表「侍ジャパン」を見守っているのが、2球団でのプレーを経験している上茶谷大河投手だ。かつての同僚が犯してしまった痛恨のミス。「めちゃくちゃキツいやろな」――。思いを馳せたのは、DeNA時代のチームメートでもある牧秀悟内野手だ。

 2024年オフに行われた現役ドラフトでホークスに移籍した背番号64。横浜はプロ入りから6年間を過ごした思い出の地だ。「生意気なやつ。友達ですよ」。明るいキャラクター同士、牧はかわいい後輩の1人だ。今年2月には宮崎で食事にも出かけた。「(楽天の伊藤)光さんに『ご飯行こや』って言われて行ったら、半ズボンの牧がいました」。久々の再会を果たし、近況報告もしたばかりだ。

 ホークスの1軍は6日から関西遠征に出ていたが、右腕は福岡に残留。侍ジャパンの試合を初戦からNetflixで見守ることができた。「もちろん、会員ですから」。言葉を失ったのは、8日に行われたオーストラリア戦。4回2死満塁で、打席には大谷翔平投手を迎えていた。先制の絶好機だったが、二走の牧が捕手からの牽制に刺され、アウトとなってしまった。沈痛な表情は、上茶谷にとって見ていられないほどだった。

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続きの内容は

WBCを見て上茶谷大河が抱いた「不思議な感覚」
何度も見た落ち込む姿…上茶谷大河だから知る責任感の強さ
痛恨の走塁ミス…上茶谷大河が「もうあかん」と思ったワケ

「こういう時ほんまにあかんから代えてあげて」

「『もうあかん。こういう時はほんまにあかんから、代えてあげて』と思いながら見ていました。牧はとにかく責任感が強いですし、エラーとかすると『自分のせいや』って思い込んでしまう選手なので。めちゃくちゃキツいやろうなと思っていました」

 2024年から2年間、DeNAでキャプテンを務めた牧。チームを背負い、先頭に立つ姿を上茶谷も目に焼き付けてきた。「エラーしてロッカーでめちゃくちゃ落ち込んでいたり、そういう姿は何度も見たことがありますね」。侍ジャパンは結果的に逆転勝利を飾ったが、万が一、あのまま負けていたら――。「あいつ絶対泣いとると思いますよ」。思わず“代えてあげて”という思いを抱いたのも、責任感の強さを知っているからこそだ。

「ああいうのって(映像にも)抜かれちゃうじゃないですか。『あ、もう無理やな。代えた方がいいのかな』って。次の打席(6回1死一塁で三ゴロ)もリクエストで(判定は)覆りましたけど、内野ゴロのゲッツー崩れやったし。あの打席もまだ全然やばかったと思いますよ。『ああ、やっぱりあいつ引きずってんな』と。ほんまに勝てて何よりだったんじゃないですか」

 背番号64がルーキーイヤーだった2019年、神宮のヤクルト戦でKOされた。ロッカーで涙を流していると、励ましてくれたのが山崎康晃投手だった。自分自身が辛い時、先輩から寄り添ってもらうありがたみは身を持って知っている。「僕はそういうことしないですよ。ヤスさんだから意味があるんです。僕に励まされても意味ないでしょ」。そう笑い飛ばすものの、上茶谷なりの形で後輩を支えてきたはず。移籍して1年以上が過ぎようとも、横浜時代の同僚は大切な盟友ばかりだ。

二塁で牽制死となった牧秀悟【写真:加治屋友輝】
二塁で牽制死となった牧秀悟【写真:加治屋友輝】

不思議な感覚を胸に…侍ジャパンを応援する純粋な気持ち

 ホークスでも明るいキャラクターであっという間に溶け込んだ上茶谷。周東佑京外野手ら4人の鷹戦士も含めて、侍ジャパンには繋がりのある選手は多いという。「菅野(智之)さんは治療院が一緒でしたし、金丸(夢人)君とは新幹線が一緒になって写真を撮ってもらいましたね。『金丸君や!』って」。人柄までよく知っている選手たちが、日の丸を背負って戦っている。画面越しに抱くのは、純粋な気持ちだけだ。

「牧もそうですけど、ホークスからも選ばれている。話したことのある人がいっぱい出ていて、なんか不思議な感覚ですね。前回大会はファンみたいな感じで見ていたんですけど、今回は仲が良い、関係のある人が頑張っているので。とにかく怪我なく頑張ってほしい、それだけです」

 上茶谷も、開幕ローテーション入りをかけて競争しているところ。オープン戦では1試合に登板して防御率2.25で、10日の巨人戦(宇部)でも登板する予定だ。「僕みたいなタイプは甘く入ったらいけない。1球1球の精度を高めていきたいです」。覚悟を胸に、全力で腕を振る。

(竹村岳 / Gaku Takemura)