中村晃の午前6時30分…必ず顔を合わせる1人の若鷹 早朝から大切な“自分と向き合う時間”

19度目の春季キャンプは福岡「なんだか不思議な感覚」

 選手の胸中や本音に迫る新連載「鷹フルnote」。今回は、中村晃内野手の登場です。タマスタ筑後で過ごした2月の春季キャンプ。早朝のウエートルームで必ず顔を合わせる育成右腕がいました。19年間のキャリアで、大切にし続けるのは“自分と向き合う時間”。背番号7はなぜ、早朝から準備を始めるのでしょうか――。

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 午前6時30分。中村晃が筑後に到着した時には、もうウエートルームの電気が付いていた。春季キャンプで中村晃の朝は“2番目”に早かった。必ず、自分よりも先にいた若鷹の存在。「あいつがいつも最初にいるから」――。

 プロ19年目の春季キャンプは、例年の宮崎ではなく筑後で過ごすことになった。「2月なのにこっちにいるのは、なんだか不思議な感覚ですよね」。昨年11月に腰を手術し、現在まで4か月以上のリハビリを重ねている。「良くはなってきていると思います。試合となった時に不安がないようにしたいですね」。ここまでライブBPまではクリアしており、実戦復帰が本格的に見えてきたところだ。

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続きの内容は

福岡で過ごしたキャンプが「不思議」に感じた理由
中村晃が早朝から始める準備…必ず顔を合わせる1人の若鷹
開幕まで3週間を切った…打ち明けた本音「正直微妙」

午前4時30分から始まる一日…ウエート室で出会う若鷹

 独特な緊張感を胸に抱き、始まった今年のキャンプ。中村晃は午前4時30分に起床する。「キャンプは変なプレッシャーもなくて、自分の技術向上と向き合えるので。楽しい時間でもありますよ」。6時過ぎにはタマスタ筑後に到着すると、真っ先に向かうのがウエートルームだ。背番号7よりも早く汗を流していたのが、育成3年目右腕の宮里優吾投手だった。

 昨季はウエスタン・リーグで17試合に登板して防御率0.48。18回2/3を投げて18三振を奪うなど、力強い直球が最大の武器だ。今は右肩の不調でリハビリ生活を送っているが、2025年2月の宮崎キャンプでは尾形崇斗投手、松本晴投手らとともに早朝からウエートトレーニングに励んでいた。場所が変わっても、取り組みは変えない。言葉を交わすことはないというが、その姿は中村晃に刺激を与えていた。

「早ければいいってものではないんですけど、その日を過ごすうえでの意気込みが見えると思う。ギリギリにくるよりも、そこの(始動する)早さもあると思いますけどね。全体の動きが始まるまでしっかりと準備もできるし、その日の体の状態もわかる。自分と向き合う、会話する時間も増えるので。そういう時間が多いのはいいことだと思います」

 シーズン中、みずほPayPayドームでホームゲームが行われる日も中村晃の球場入りは早い。「実は、特に何をするってわけでもないのよ」と36歳は照れ笑いするが、大切なのは自分のリズムで試合に臨むことだ。「僕はスイッチがバチっと入るタイプではない。(ダイヤルを)ゆっくりと回していくような感じなので。人それぞれですけど、僕の場合はそうやって準備した方がいいんですよね」。19年かけて見つけたルーティンを守りながら、2月の球春を過ごしてきた。

「バタバタ準備するのが嫌なので。余裕をしっかりと持って、練習や試合にも入っていきたい。逆算すると『この時間になる』っていうのは日々考えながら。今は筑後なので、結構早いですけどね」

開幕まで崩さない慎重な姿勢「正直、微妙」

 練習の強度も少しずつ上がってきている。順調に見えるリハビリだが、まだ乗り越えなければならない課題もある。「あとは全力プレーだけじゃないですかね。そこができないと試合に出ていく感じにもなってこないし、話にもならない。そこをクリアできたら(試合で)打つ、打たないの問題にもなってくると思います」。どんな時も絶対に全力疾走を欠かさない36歳のベテランが言うからこそ、説得力があった。“3.27”まで残り3週間を切った。開幕への逆算について問われると、思わず本音を打ち明けた。

「正直、微妙ですね。もちろん開幕にいたい気持ちはありますけど、難しいところです。目指しはしますけど、1年間あるわけだし。そこだけじゃないとも自分に言い聞かせています。どうしても選手は『いきたい、いきたい』となるので。そこは冷静にやっています」

 熱い思いを胸に秘めながら、慎重な姿勢は崩さない。今できる最善を尽くしていくつもりだ。「もう筑後に3か月くらい、いるわけですもんね。若手にもいい選手が多くて、いい時間を過ごせていると思いますけどね」。2年連続の日本一を目指す道のり。中村晃の力が、必ず必要になる。

(竹村岳 / Gaku Takemura)